こんにちは。歯科医師の高橋(克)です。本日は、義歯の仮合わせ(試適)についてです。
義歯の高さ決めが終わったら、技工所で咬合床とよばれるワックスの上に人工歯を並べる配列という作業に入ります。
人の解剖学的な歯並びは、歯列弓をはじめ様々な弯曲によって成り立っているという考え方のもと、咬合器に装着された咬合床に様々な形態の人工歯を配列していく作業と、クラスプという金属のバネを製作しそれを咬合床に付ける作業と、リンカルバーやパラタルバーなどとよばれる左右両側を繋ぐ金属製のバーなどを咬合床に付ける作業になります。
そこにはただ並べるだけではなく、口腔内で再現された咬合採得をもとに、理想的だとされる噛み合わせや顎の動きや推測される舌の位置などを総合的に考慮した配列作業をおこなうことになります。
歯並びの審美的な要素としては、笑顔になった時、唇より前歯の切端ラインが少しだけ見えることと、左右の前歯の切端のラインが左右対称であることや、側方の顔貌が、エステティックラインを呈することがあげられます。実際にはそのような条件では対応できないことが殆どですが、その内容に近くなるようにしていきます。
人工歯の色あわせですが、残存歯があればそれを目安として、近い色を選んでいきます。材料は保険診療であれば、レジン歯や陶歯などです。
歯の形ですが、おもな目安としてはやはり残存歯などの形を参考に、顔の輪郭などを考慮しながら選んでいきます。面長であれば長めの形態、あるいは丸顔であれば丸みのある形態、左右の顎骨部が張っていれば四角い形態になることが多いです。

それと保険内のクラスプ(義歯のバネ)の形態についてですが、ワイヤー(針金)タイプであれば審美的に目立たず、キャスト(鋳造)タイプであればしっかりクラスプの入る歯をホールドできるというそれぞれの利点があります。なので前歯部にクラスプがかかる場合は審美性を考慮してワイヤータイプにしたり、歯周病が進行している歯であれば、やはりワイヤークラスプになったり、審美性に問題がなく義歯の維持安定が難しい場合は前歯のクラスプでもキャストタイプになったりします。
それと義歯床(義歯の歯茎のピンク色の部分)で口蓋や下顎の舌側を覆う範囲が、咀嚼嚥下機能に問題ないか、発音の問題がないか、嘔吐反射の問題がないかのどを考慮し、義歯床の長さや厚みを確認していきます。
この仮合わせの作業は完成一歩手前の作業ですので、入念なチェックが必要ですが、場合によっては技工過程で、作業中のレジンの重合収縮による歪みや変形を起こす可能性があるので、私の場合はバーやクラスプの適合状態や審美的な面をさらっと見て、大丈夫そうであればそれでよしとしています。