歯の異常について

こんにちは!歯科医師の山岸です。

今回は歯に関する異常について書いていきます。

*前から1番目の歯:中切歯

 前から2番目の歯:側切歯

 前から5番目の歯:第二小臼歯

 前から4、5番目の歯:小臼歯

 前から8番目の歯:親知らず、智歯

 歯の頭の部分:歯冠部

○歯の本数の異常について

本来よりも歯の本数が多い場合、その歯を過剰歯と言います。

過剰歯として比較的よく見られるのは、上顎中切歯の間にできる正中歯で、

その他に上の奥歯の間にできる臼傍歯、その後ろにできる臼後歯があります。

本来ある歯がない場合には欠損歯といい、上顎側切歯、下顎第二小臼歯に多いで

す。

○歯の形の異常について

歯の形に異常がある歯形態異常歯といい、歯の頭の部分が異常に大きな歯を巨大

歯、異常に小さい歯を矮小歯といいます。

巨大歯は上顎中切歯に生じることがあり、矮小歯は上顎側切歯によく見られま

す。

また、小臼歯には中心結節というものが見られることがあり、結節内に神経の部

屋(歯髄腔)が存在するため、切削や破折により露出(露髄)することもあり、

特に下顎第二小臼歯によく見られます。

歯冠部の形態異常として、切歯結節や犬歯結節、棘突起、斜切痕、カラベリー結

節、臼傍結節、プロトスタイリッド、臼後結節、エナメル滴といったものが出現

することもあります。

これらは形態異常ではありますが、特に問題となることは多くないです。

さらに、2つの歯がセメント質という部分で結合した癒着歯、2つの歯が結合した

癒合歯があります。

そして、歯冠部において歯の組織が神経の部屋内部に入り込んでいる歯内歯があ

り、隙間にむし歯ができやすく、神経の部屋へむし歯が進行しやすい状態でもあ

ります。


○歯の形成不全

歯の形成時期において歯胚になんらかの障害が起こり、歯質に組織学的な形態異

常を生じることがあります。

これを形成不全といい、局所的あるいは全身的な原因によって生じます。

局所的な原因としては外傷があり、乳歯が外傷などを受けることによって、下か

ら生えてくる永久歯のエナメル質や象牙質に形成不全や歯根彎曲を生じることが

あります。

また、乳歯の根の炎症(根尖性歯周炎)が後継永久歯歯胚に及ぶと、歯冠部エナ

メル質に形成障害(ターナー歯) を生じることがあります。

これは根の炎症周囲によるため、1~ 2本に限局し、左右非対称的に生じます。

虫歯の後発部位の関係上、小臼歯に最も多く認められます。

全身的な原因としては、歯の形成期における栄養障害、カルシウムやリン、ビタ

ミンの欠乏、内分泌障害があり、エナメル質や象牙質に形成不全が生じることが

あります。

母子感染による先天性の梅毒では、上顎中切歯切縁部に半月状の形成不全(ハッチ

ンソン歯) と第一大臼歯の咬頭萎縮(フルニエ歯、ムーン歯) がみられます。

フッ化物の過剰摂取により、エナメル質表面に白濁した不透明な白斑や縞模様か

ら実質欠損 を伴い褐色を呈することがあり、斑状歯といいます。

遺伝によってもエナメル質に形成不全、石灰化不全が生じることがあり、減形成

型と低石灰化型に分けられます。

象牙質形成不全症では、歯冠は特徴的な球形を呈し、歯根は短小、エナメル 質は

欠けやすく、露出した象牙質は褐色となります。

以上、歯に関する異常について書いていきました。

歯の異常に関しては全てが悪いものというわけではないので、気になった際には

是非相談してください。