根未完成歯の治療について②

みなさん、こんにちは。かさはら歯科医院、歯科医師の岩谷です。

まだ、寒い日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。

前回、根っこが成長途中の歯である根未完成歯について、治療の難しさ等について説明させていただきました。

本日は根未完成歯の治療について、お話をさせていただきます。

根未完成歯の治療は大きく3つに分けられます。

①アペキソゲネーシス

②アペキシフィケーション

③リバスクラリゼーション

それぞれについて説明させていただきます。

 

①アペキソゲネーシス

アペキソゲネーシスは神経が生きている歯に対する治療になります。

根っこが完成していない歯で、神経のお部屋の深い場所に細菌の感染が起こっていない場合の処置で、神経の一部を取り除いて、その上に水酸化カルシウムまたはMTAというお薬を用いて封鎖を行い、根っこの成長を待つ方法です。時間が経つと根っこが成長し、神経のお部屋の先の根っこの厚みが増し、さらに根っこの先が閉鎖します。この処置では、神経が残っているので冷たさや温かさなどの感覚は残り、正常な歯と同様の反応を示します。水酸化カルシウムとMTAの差は大きくなく、どちらかと言うとお薬の種類ではなく、その後セメントやプラスチックの材料でしっかり封鎖することが、後の歯の寿命に大きく関わると言われています。

 

②アペキシフィケーション

アペキシフィケーションは、神経が死んでしまった歯に対する治療になります。

まず、死んでしまった神経組織を全て取り除き、神経のお部屋全体に水酸化カルシウムまたはMTAというお薬を詰めます。時間の経過と共に、神経のお部屋の先が閉鎖しますが、アペキソゲネーシスとは違って、根っこの先の内側の厚みは変わらず薄いままです。これは、根っこの先にある根っこを成長させる細胞が死んでしまっているので、実は根っこが成長しているのではなく、根っこの先に硬組織と呼ばれる硬い組織が添加されてあたかも根っこが成長しているかの様に見えるとされています。したがって、根っこの先の歯の厚みは薄いので、後々歯が割れるリスクがあると言われています。この処置では、MTAを使用した方が水酸化カルシウムを使用した場合よりもより早く根っこの先が閉鎖するとの報告があります。

こちらは、アペキシフィケーションにより根っこの閉鎖を行った治療になります。

根っこの先は閉鎖していますが、根っこの厚みに変化は見られません。

しかしながら、歯は割れることなく生活できているとのことです。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

次回は、リバスクラリゼーションについて説明いたします。

まだ、肌寒い日が続きますが体調にはくれぐれもお気をつけください。