口と歯の気になる症状(続編)

こんにちは。歯科医師の高橋(克)です。

本日は義歯の製作手順についてです。義歯はどうやって作られるのか、治療内容等どんな作業工程を経て完成になるのかなど、書いていきたいと思います。

全部床義歯(総入れ歯)の場合

①外科処置後の仮義歯について

入れ歯(義歯)の種類は大まかに二種類あり、顎全体を覆うものと、部分的に覆うものの二種類に分けられます。

前者を全部床義歯と呼び、一般的には総入れ歯と呼ばれるものです。後者は部分床義歯と呼ばれ、比較的歯の残存歯数が多い方の入れ歯になります。

総入れ歯はバネになる歯がないので床となる歯茎や残根(歯の根だけ残っている部分)や場合によってはインプラントなどで支えを作り、食事や会話時に外れにくいようにつくられます。

なので、治療を始める前に歯槽骨や残根の状態をレントゲンや模型診断などで診断を行います。

そこで骨隆起という骨の出っ張りが顕著であれば義歯の取り外しが困難になってしまったり、隆起の部分の今後の成長が考えられるのであれば将来的に義歯が痛くなってくることが予想されるので、外科的に処置しないといけない可能性がありますし、残根に歯周病やむし歯や根尖病巣があれば痛みが出てくる可能性があるので、抜歯をしなければいけないこともあります。もし残根の状態が良くても義歯の形態や設計や衛生面で問題があったのなら抜歯しなくてはならないことになるかもしれません。

ちなみにごくたまに残根のようにインプラントを埋め込んで義歯の維持を付けるものもあるようですが、かなり難易度が高い処置なので、このような場合はインプラントや義歯の専門の先生にお任せする場合もあるでしょう。

ひとまず外科処置が終了したらようやく本義歯の型とりをおこなうわけですが、歯茎や歯槽骨が治癒できていないと義歯が将来的にあわなくなって痛くなってしまうこともあるので、治癒する経過が長引きそうな場合は、仮義歯を製作して一度様子見することがあります。

高齢の方などは外科処置後の治癒経過がゆっくりな傾向にありますので、歯茎や骨が戻ってくるまでに半年以上かかる方もいらっしゃいます。しかし若い方でも抜歯した穴が深ければ、治癒するまでそのくらいの時間を有することがあります。

その間やはり半年位入れ歯なしで生活するのは大変ですので、仮の入れ歯を製作することで本義歯の型とりするタイミングを待ちながら、歯茎や骨の治癒状況やインプラントの経過をみるという治療のながれが、現在の主流となっているようです。