口と歯の気になる症状(続編)

こんにちは。歯科医師の高橋(克)です。本日は前回と同様に補綴物が入る前に再製作になってしまう原因について(今回は土台が破折あるいは脱離について)考えていきたいと思います。

①メタルコアの破折や脱離について

メタルコアとは、金属の土台を総称して呼びます。材料としましては、銀合金、アマルガム、金銀パラジウム、金合金などが代表的なものです。製作工程は、根管治療が終了したら、歯の根の部分を深く削り、型とり(印象)をおこなって土台の金属を製作し、セメントで接着する方法(間接法)か、築造といって金属を歯の根の深く削った部分に盛り足して土台になる部分を作る作業(直接法)をするかどちらかになります。ちなみに直接法の金属は、大体アマルガムに限られてくるのですが、現在では特別なケースを除いて殆ど使用されていないようです。

どちらも歯の根の中を削合して形を整えるので、その長さや太さや形態は様々です。また金属の材料により強度も様々で、ゴールドであれば伸びる性質があるので歯が破折するリスクが少なくなるので、保険外の自費診療に使用されることがたまにあります。ゴールドは歯ぎしりなどのブラキシズムが強い方にも向いている材料だと言われています。しかし高価です。そして保険適用外なので、保険診療であれば銀合金や金銀パラジウムなどの固い材料になってきます。材料が固いので、歯の根の部分にヒビが入ったり破折しやすいというリスクがあるようです。そうなった場合は、将来的に抜歯になることが考えられるのです。ちなみに土台の長さが長いほど、土台の太さが太いほどそのリスクは上がります。さらにブラキシズムなどの咬合力の負荷がかかれば影響を受けることもあるでしょう。

金属の土台が脱離や破折することなんて絶対ないでしょうと思われる方もいらっしゃると思いますが、実際そんなことも起こることはあります。古くなった土台が脆くなったりあるいは咬合力などが影響して、脱離や破折を起こすのです。

そうなった場合は、再度セメントで脱離したものを接着するか、また形を整えて土台の型とりをするかどちらかになります。

後者の場合は、歯の根が薄く脆くなってしまう可能性があるので、歯科医師にとってかなり神経を使う大変な処置になります。

②レジン系コアの脱離や破折について

レジン系のコア、メタルコアに比べて強度が弱いです。そのため咬合力が強いと脱離や破折リスクが上がります。しかし歯根自体の破折リスクはメタルコアに比べたら少ないようです。そのような理由で最近の歯科治療では主流になってきているようです。

 

以上で今年の自身のブログは終了です。

一年間ご愛読ありがとうございました。

来年もまたよろしくお願いいたします。