お口の中の痛みについて

みなさん、こんにちは。かさはら歯科医院、歯科医師の岩谷です。

日ごとに秋の気配を感じる今日この頃、お変わりありませんでしょうか。

歯科医院には、お口の中に痛みを感じて来院される患者さんが多くいらっしゃいます。虫歯や歯周病が原因であれば、歯科治療を行うことで痛みを取り除くことができることがあります。しかし、中には歯科治療を行っても治らないケースがあります。本日は、お口の中の痛み、口腔顔面痛について説明いたします。

国際疼痛学会(International Association for the Study of Pain : IASP)による痛みの定義は以下の通りです。

「不快な知覚と感情をきたす経験で組織を傷害する、またはその可能性がある刺激に付随するもの、あるいはそれに則した表現をされるもの。」

何となく分かるような分からないような、少し難しい文章だと感じます。

こちらは看護師の方が言った痛みの定義です。

「痛みとは、それを経験している本人が、それが痛みであると言い、今それが存在すると言えば存在するもの」McCaffrey(1968)

先ほどの定義よりも少し分かりやすい気がします。

当院には日々、痛みを感じて来院される患者さんがたくさんいますが、検査をしても何も異常がなく、痛みの原因が分からないことがあります。歯や歯茎に問題がない場合、歯とは別の原因で痛みが生じていることがあるのです。

痛みには3種類あると言われています。

①侵害受容性

②神経傷害性

③心因性

の3つです。

痛みはどのようにして起こるのでしょうか。痛みの発生メカニズムについて説明します。

体の末端にある末梢神経にあるセンサー、侵害受容器が痛み刺激を感知すると、電気信号が脊髄を通って脳に伝わり、痛みを感じます。これが上述した①の侵害受容性疼痛です。虫歯や歯周病など炎症や腫瘍、口腔粘膜疾患などに伴う痛みがこれにあたります。

神経が傷害されたり、神経の周りに炎症が起こることで生じる痛みは②の神経傷害性疼痛です。三叉神経痛や舌咽神経痛、帯状疱疹後神経痛などがこれにあたります。

多大なストレスにより脳に不具合が起こり生じる痛みが③心因性疼痛です。

①のケースでは、歯科治療によって痛みを消失させることができることがありますが、②、③に関しては歯科治療では残念ながら改善させることが難しく、痛みの専門家に紹介させていただくことになります。口腔顔面痛を専門に治療を行っているクリニックや大学病因の専門外来がありますので、お口の中の痛みで困っている方は是非ご相談ください。