口と歯の気になる症状(続編)

こんにちは。歯科医師の高橋(克)です。本日も前回と同様に補綴物が再製作になってしまう原因について(今回は補綴物の色調について)考えていきたいと思います。

再製作になってしまう原因のひとつ

①補綴歯と周囲の歯との色調の相違

通常失活歯(神経が取られた歯)であれば、根管治療(歯の根の治療)が終了した後に土台を作り、土台が出来たら被せ物が入るようにタービンやエンジンで土台を削って、型取り(印象)を行います。ワックスなどで噛み合わせをとり、反対側の歯並びを型とりし、仮歯をセメントなどで仮接着し、その日の治療は終了するのですが、その間に白い補綴物が入る場合にシェードテイキングといって色合わせをする作業工程があります。もちろんそれ専用の機材もありますが、大体は患者さんと術者との直視での色の確認となります。

色のタイプはおおまかに4種類あり、Aタイプ(日本人に一番多いうす茶色系の色調)と、Bタイプ(黄色味がやや強いタイプ)と、Cタイプ(欧米人に多いグレーがかった色調)と、Dタイプ(色が濃いめでCタイプと混合したような色調)などがあります。

色見本に使用するものをシェードガイドと呼び、種類もレジン用のものや、セラミック用のものや、ジルコニア用のものなど様々ですが、それを実際に治療する歯に近づけて自然光で確認していきます。

しかし完成したものと型とりの時に確認した色見本と予想した仕上がりにならないこともあり、再製作にならざるを得ないことも時々あったりするようです。特に保険診療でレジン前装冠やCAD/CAM冠にする場合に色調の選択肢が限られているような時に起こりやすい傾向があります。

周囲の補綴物の色や、隣接歯のもともとの自身の歯の色の違いにより、より色調あわせが困難になっている症例も時々見かけます。

それと口腔内の補綴物の材質がバラバラなケースも色調あわせが困難になってしまうことも原因の一つとして考えられます。材質が変われば当然透明感や、質感が変わるので、同じシェードでも材質の違いで全然違う仕上がりになるようです。

それと、周囲の歯のCR充填(レジンの詰め物)などが経年劣化し着色をおこすとシェードをせっかくあわせても、補綴歯だけが審美的に不調和を起こしてしまいがちになります。

結局のところは、周囲の歯との色調バランスと質感が重要ということなのだと思います。

それと土台になる素材や前装冠の材質やセメントの色調なども審美的に影響を与える要素があるので、次回はそれについて伝えていきたいと思います。