可逆性歯髄炎と不可逆性歯髄炎

みなさん、こんにちは。

かさはら歯科医院、歯科医師の岩谷です。少し暑さが和らいできた今日この頃ですが、いかがお過ごしでしょうか。

先日、むし歯の治療をした患者さんから、「先生、この間治療をした歯が少し染みるんだけど大丈夫かな?」と聞かれました。むし歯治療として詰め物や被せ物を行ったとき、このように染みる症状が現れることがあります。神経のお部屋の中に炎症が起きた状態で、これを専門用語で歯髄炎と言います。

本日は、歯髄炎についてお話しをいたします。

歯髄炎には、①可逆性歯髄炎と②不可逆性歯髄炎の2種類があります。読んで字の如く、①可逆性歯髄炎は、染みる症状が時間の経過とともに改善されるもので、②不可逆性歯髄は時間が経っても症状は軽減されず、逆に痛みが徐々にひどくなることが多いものです。可逆性歯髄炎の場合、どのくらいで治るのかとよく聞かれますが、このくらいで治るとは一概には言えません。その歯の状態や痛みの感じやすさなど個人差があるため、1ヶ月で治る人もいれば、3ヶ月、半年かかる人もいます。

可逆性歯髄炎と不可逆性歯髄炎の鑑別はどのように行うかについてですが、判別は非常に難しいです。症状が軽度の場合は可逆性歯髄炎と判断することが多いですが、何もしていなくて痛みが生じたり、歯を叩いたり、冷たいものが染みたり、噛んだ時の痛みの程度が大きい場合に不可逆性歯髄炎と判断することがあります。また、夜寝ているときの痛み、夜間痛がある場合や冷たいもの温かいものに対する痛みの持続時間が30秒以上など長い場合に不可逆性歯髄炎と診断することが多いです。一度不可逆性歯髄炎と診断して、神経をとってしまうと、時間が経てば治ったかもしれないため、この判断は非常に難しく、最終的には患者さんと相談して決めることが多いです。痛みのせいで夜寝ることができなかったり、噛むと痛いので食事をしっかり摂ることができないなど生活に支障が起きた際には患者さんに神経をとる治療を進めることがあります。

この歯髄炎は歯科治療の中で最も痛い病気の一つなので、むし歯が進行しないように日々の口腔ケアが非常に重要になります。

このまでお付き合いありがとうございました。お痛みがある際にはご相談ください。