歯磨きと免疫力

こんにちは、歯科衛生士の和田です。

長い長い猛暑から突然の秋が訪れ、気紛れな天気が続いていますね。
寒暖差による免疫力の低下なのか、長く続いた感染症対策の反動なのか、インフルエンザが流行しているようです。
以前にも書きました、歯磨きとインフルエンザ予防の関係について、改めて掲載させて頂きますね。

予防接種はもちろんのこと、手洗いやマスクの着用といった予防策が知られていますが、実は『歯磨き』にも感染症を予防する効果があることが分かってきました。

お口の中には常にたくさんの細菌がいます。
その数は諸説ありますが、一説には6000億以上ともいわれていますので…天文学的な量であることは間違いありません。

歯周病の原因菌は歯ぐきの炎症の原因となるLPSという毒素を放出しますが、それ以外にも色々な物質を作り出しています。
その1つにプロテアーゼという酵素もあります。
このプロテアーゼは人体がタンパク質を作ったり壊したりしながら成長していく過程に必要不可欠なようですが、粘膜にウイルスを侵入しやすくしてしまうということもあるようです。

つまり、プロテアーゼが増えやすい環境であればあるほど、ウイルスなどに感染しやすいと言えますね。
この酵素を減らすには…言うまでもないですが、大元であるお口の中の細菌を減らすことが効果的です。
東北大学の研究でも、介護施設で週に1回、専門的口腔ケアを実施すると、気道の感染症やインフルエンザが著しく減少した、という報告があります。

細菌を減らすための歯磨きというのは、特別なことではありません。
歯と歯の間や、歯と歯ぐきの間まで、優しく丁寧にプラーク(歯垢)を取り除き、定期的に歯ブラシを交換して衛生的な状態を保つ…という、『虫歯や歯周病の予防』のための歯磨きと変わりません。
基本の歯磨きをしっかり行えば、一石二鳥で『インフルエンザの予防』も出来てしまうのです。

それから余談ではありますが、風邪やインフルエンザの予防策の定番である『うがい』について、ちょっと意外なことを知りました。
実はウイルスは喉や鼻の粘膜に付着すると、数分から20分の間には体内に入り込んでしまうそうです。
つまり帰宅後にうがいをしても、口や鼻にウイルスが入ってから長時間が経過していては既に遅し…ということらしいのです。
喉や鼻の粘膜を洗い流すなら、うがいより「こまめにお茶を飲む」ことを勧めている内科の先生もいましたよ。

まずは手洗いやマスクでウイルスとの接触を防ぐこと、そしてお口の中を清潔に保ってウイルスの侵入を防ぐこと、この両立でインフルエンザの予防効果はかなり高まるのではないでしょうか。
暑過ぎて夏に出来なかった行楽を秋に楽しむ方も多い様子ですので、楽しく過ごすためにも健康にはお気を付け下さいね!