待機的診断について

みなさん、こんにちは!
かさはら歯科医院、歯科医師の岩谷です。



突然ですが、待機的診断という言葉をご存知でしょうか。待機的診断とは、経過観察を行うことにより最終判断を下す診断法のことです。例えば、2つの隣合う歯や多数の歯に痛みが生じており、どの歯が原因か判断できない場合に、一定期間、時間を置いてから、もう一度診査診断を行う治療法のことです。可逆的か不可逆的か疑わしい神経の炎症の場合、一定期間経過後、痛みが強くなることや神経が正常に機能しているかどうかの試験結果を見て診断することは非常に有効であると言えます。
先日、右下奥歯が咬むと痛いという患者さんが来院しました。右下6番目と7番目の歯に痛みがあり、レントゲン写真から6番目は一度根っこの治療をしており、未だ根っこの先に病気があることが分かりました。6番目と7番目の歯には銀歯が入っていましたが、特に中で虫歯が広がっている様子は見られず、被せ物と土台の歯との間に隙間も見られなかったです。歯を叩いたときに響くこと、咬むと痛みがあるといったお口の中の症状とレントゲン写真における根っこの周りの黒く抜けている画像から6番目の歯を疑いましたが、7番目も咬むと痛みがあったことから、待機的診断を行い、1週間後に再度診査診断を行いました。1週間後にもう一度確認すると、歯を叩いたときは6番目と7番目、どちらの歯も響きましたが、7番目の歯の方が強く響き、咬んだときの痛みは6番目の歯では生じず、7番目の歯で生じたことから、7番目の歯が原因だと特定することができました。
このように待機的診断とは、一見何もせずに様子をみているように思われがちですが、実は原因の歯を特定するために、あえて少し時間を置いてから診査診断を行う非常に有効な診断法であるといえます。
今回のケースは銀歯を外してみると歯にクラックという亀裂があり、その隙間から細菌の感染が起こったことが原因であると考えられます。