歯が揺れる

                           こんにちは。かさはら歯科医院のドクター、高橋(千)です。もうすぐ今年も終わりですね。来年もよろしくお願いします。

今回は歯の揺れについて書きます。

 

歯が揺れる、なんてことはあるのでしょうか?

乳歯が大人の歯に生え変わる時、抜ける前に歯がグラグラしたことを思い出した方もいるのではないでしょうか。

普段の生活の中では、歯は顎の骨に埋まっていてシャーピー繊維という細い沢山の糸で骨と繋がっています。そのため歯はわずかに動きます。(生理的動揺)

噛んだ時の強い力や前歯に衝撃があった時など、力を分散したり吸収するなどして歯の破折を防いでいます。

強く噛んだり前歯を軽く指で押せば、歯が沈んだり少し前後に動く感じがわかると思います。

歯が揺れる時には下の歯でいえば唇と舌の方向に前後に揺れるケースと、強く押したときに沈み込むような上下の揺れ動きと、2種類のタイプがあります。
歯科医院ではこの揺れをチェックし数値化しています。

しかし強い噛み締めのクセや、歯周病などで歯は願わずも動揺してきてしまうことがあります。

食いしばりや歯ぎしりなど常に強い力がかかり一定のラインを超えるとこの繊維が断裂して疲労を起こし、支えのクッションが減ってきてしまいます。

そう多くはないですが、噛み締めから全体的な強い揺れが見られることがあります。
そのような場合は、マウスピースを使ったり噛み締めのクセをなくしていくなどの治療が必要になるでしょう。

一般に多いのは歯周病により歯周組織が破壊されているケースです。

歯の周りのポケットに住み着く細菌が、歯ぐきに炎症を起こし顎の骨を溶かしていくものです。

高いビルを歯、その地盤を歯ぐきだとイメージしてみて下さい。
地盤が固い時(歯周病になっていない時)は、しっかりとビルを支えていますが、地盤が緩くなる(歯周病になり炎症で歯茎が腫れている)と高いビルを支えるのには不安があります。

さらに歯周病が進行すると支えている骨も溶けていくので、歯茎が下がり土台が見えてくるような状態になります。

流石に突然このような症状を感じるまでにはそれなりに長い時間がかかりますが、一度溶けた組織はなかなか元に戻すことができません。

これは虫歯とは関係なく、歯茎のみに起きて来る症状です。

歯周病は静かに進んでいく病気だと言います。僅かながらの出血、一般の方だと気付きにくい歯ぐきの炎症期間が数十年続くので、慣れてしまっている方もいるかもしれません。

そのためには歯科検診を兼ねて、年に数回のクリーニングが必要です。
その時に歯磨きの方法を聞いたり、普段の習慣やケアの仕方を指導してもらうと良いでしょう。

虫歯になったことがあまりない人ほど歯科医院に行く機会がないため、歯周病を招いてしまうことも少なくありません。

歯が揺れるほどの症状が出ている方はもちろん、その不安がある人はまず歯科医院でチェックをしてもらうと良いでしょう。