口と歯の気になる症状(続編)

こんにちは。歯科医師の高橋(克)です。

本日は関節リウマチと歯周病の関係性についてまとめてみました。

関節リウマチ患者さんの血清中には、抗シトルリン化タンパク抗体(抗CCP抗体)という自己抗体が検出されます。シトルリン化は、正常な体の中でも起こっている反応なのですが、最近、歯周病菌であるPorphyromonas gingivalis(P.g菌)がタンパク質をシトルリン化させる「PAD」という酵素を持っていることが発見されました。そのため歯周病患者さんの体内では過剰にシトルリン化タンパク質が増え、抗CCP抗体ができやすくなり、関節リウマチを亢進させるのではないかと考えられています。

岡田らは関節リュウマチ患者さんへの歯周治療によってP.gingivalis血清抗体価と血清シトルリン濃度が低下しその結果、関節リウマチの活動度が下がることを報告した。(以上歯科医院で患者さんにしっかり説明できる本より)

 

口の中にはたくさんの常在菌という細菌が住んでいます。その中で歯周病の原因となって、しかもリウマチを引き起こす犯人と疑われている細菌が、P.gingivalis(ジンジバリス)というものになります。このジンジバリスですが、他の歯周病を引き起こす細菌と違って、シトルリン化といって周りのたんぱく質の形を変えてしまう性質があります。そうすると、その形が変わってしまった変なたんぱく質をお掃除しようと自分の免疫細胞が動き出し、抗体という武器をつくります。この抗体が抗CCP抗体とよばれます。

抗CCP抗体?「あれ、リウマチの診断に使う血液検査で見たことがあるかも?」と思った皆さん、正解です!リウマチを診断する際の血液検査で最も役に立って、しかもリウマチ自体を引き起こす原因の一つでもある、抗CCP抗体になります。まとめると、歯周病菌の一種のジンジバリスというやつが、周りのたんぱく質の形を変えて、それを取り除こうと免疫細胞が暴れだして、リウマチを発症してしまう可能性が現在考えられています。(以上さとう埼玉リウマチクリニックより)

 

現在、関節の痛みやリウマチの症状にお困りの方にとっては、これらの情報は、特に有効なものだと思われます。特にご年配の方などは、「歯医者は歯が痛い時だけ行っていた。」あるいは「仕事や家族の世話で忙しかったから、歯医者に行きたかったけど、行けなかった。」などという時期があった世代かもしれません。

大切なお体です。今後は、ご自分の歯周病予防と、リウマチの諸症状の改善等を期待して、歯医者での定期的な検診を受けられると良いのではないかと思います。