タバコと歯周病について

みなさんこんにちは!
仙台市かさはら歯科医院
歯科衛生士の佐藤です😊


11月も終盤を迎え、ますます冬の気配が
色濃くなってまいりましたね⛄️

朝晩はひときわ冷え込みますので、
お体に気をつけて過ごしてくださいね☺️

今回は『タバコと歯周病』について
お話しさせていただきたいと思います!

今回は「たばこが歯周病に及ぼす影響」についてお話したいと思います。たばこが健康を害することは皆さんもよくご存知かと思います。

その「たばこ」、実は歯周病も大きく関係しているのです。

タバコの煙の中には数千種類もの化学物質が含まれています。その中の有害物質は約200種類、そして発がん物質は約70種類と言われています。この有害物質で代表的なものは、①ニコチン ②一酸化炭素 ③タールなどです。

①ニコチン

ニコチンは非常に依存性の高い薬物です。驚くべきことにヘロインやコカインなどの麻薬より依存度は高いとされ、禁断症状も強く現れるといわれています。強い血管収縮作用(血管を細くしてしまう)があり、脳や皮膚、そして歯肉の血流を障害してしまいます。

②一酸化炭素

一酸化炭素は酸素と比較して200倍以上血液中のヘモグロビンと結合しやすいです。酸素と結合するはずのヘモグロビンが一酸化炭素と結合してしまうため、血液の酸素運搬能が低下してしまい、体の組織の酸素欠乏が起こってしまいます。したがって酸素が必要な細胞の活動が低下してしまいます。

③タール

タールとは、ヤニのようなものを指します。タバコの煙からガス成分を除くものです。タールの中には有害物質や発がん性物質が多く含まれています。

また、喫煙をすることで「歯肉がん」や「舌がん」といった、「口腔がん」の危険因子にもなります。


これまでの述べてきましが、タバコの煙は体に悪影響を及ぼします。そして歯周組織(歯の周りにある組織)への悪影響も認められています。

タバコの煙を吸うと歯肉上皮内の血管収縮により末梢循環血流量が低下します。そして一酸化炭素の影響により酸素飽和度の低下が起きます。

これが長期間続くと、歯肉が炎症を起こしている場合、通常は歯肉からの出血が見られますが、喫煙者では歯肉が貧血状態になっているため出血しにくい歯茎になっていきます。

また歯肉の色もメラニン色素の沈着により黒ずんできますし、歯の表面についたタールの影響により、歯の着色と、タールから有害物質などが持続的に歯肉に悪影響を与えます。

そして歯周病の主な原因となる細菌プラークが歯肉に影響を与えた上で、タバコの煙による影響を受けると、プラークの付着量や歯石量と比較して、歯周病の重症度が上がっていることも多く認められます。


あるデータによると、喫煙者は非喫煙者に比べて2-8倍、歯周病になりやすいと報告さ
れています。また、一日10本以上喫煙すると歯周病になってしまうリスクが5.4倍、10年吸っていると4.3倍にもなってしまうという報告もあります。

喫煙により歯肉の血管収縮、そして酸素飽和度の低下等により歯肉は貧血状態になります。そして、歯肉の創傷治癒の低下(傷が治りにくい状態)が起こっています。そのため、歯周病の治療に対する歯肉組織の治癒反応の低下につながります。

そして歯周外科治療や歯周組織再生療法に関しても、組織の治癒反応の低下が起こっているため、非喫煙者と同等の良好な結果は得られないことが示されています。


歯周治療だけに限らず、インプラント治療に関しても治療の予後に対する悪影響が認められています。ヘビースモーカーではさらに顕著に認められると言われています。

また、受動喫煙も歯周病に影響を及ぼします。
タバコによる歯周組織への影響は、吸っている本人だけでなく周囲の人にまで及びます。親がタバコを吸っている場合、子供の歯周病や歯肉のメラニン色素沈着のリスクも高まることもわかっているので、タバコは本当に良くないのです!


タバコをやめると、す歯周組織にいい影響が現れます。歯ぐきの血液量が増えるほか、歯周病治療を行った後に治癒が見られるようになって、歯周組織の破壊を抑えることができるのです。

喫煙者が禁煙することは非喫煙者が考えるほど簡単なことではありません。その理由はタバコの主 要成分であるニコチンに強力な精神依存性があり薬物依存症(ニコチン依存症)にかかってしまうか らなのです。さらに心理的な依存も禁煙を困難にしています。

【禁煙をはじめるためにも】

1. 何のために禁煙をするのか明確で強い意志をもつこと。
2. 周囲の環境をととのえ、協力できる仲間づくりをする。
3. 吸いたい気持ちを発散させる方法を考える。
4. 専門家による禁煙サポート(カウンセリングとニコチン
代替療法)を受ける。



禁煙することはお口の健康だけでなく全身の健康にとっても大きな意義があります。歯周病だけでなく、大きな病気にかかる危険を減らすことができるばかりでなく、周囲の他人への被害を及ぼすこともなくなります。タバコをやめれば食物をおいしく味わって楽しむことができ、高齢社会の今、生活の質の向上にとっても重要なポイントになります。

歯周病予防と全身の健康のためにも喫煙者の方には禁煙にチャレンジして、健康な生活を
送っていただきたいと願っております🦷✨