東仙台駅から徒歩8分

ラバーダム防湿の重要性

こんにちは。歯科医師の岩谷です。

これまで根の治療をしたのにお食事の際に噛んだときの痛みや違和感が残っていることや、歯茎にぷくっとした腫れがなくならないといった悩みをお持ちの方がいるのではないでしょうか。

根の治療にはラバーダム防湿が欠かせません。ラバーダム防湿とは、お口にゴムのシートをかけて治療する歯のみを見える状態にし、それ以外の歯をゴムのシートで覆って治療を行う方法です。ラバーダム防湿を行うことで、根の治療を行う際に唾液が神経のお部屋に入ることを防ぐことができます。根の病気が起こる原因は細菌感染によるものです。歯の表面に虫歯ができると虫歯菌はそこからどんどん奥へ歯の深い方へ進んでいきます。すると、虫歯菌に侵された歯の内部は柔らかくなり、さらに虫歯菌は深い方へ進んでいきます。虫歯菌が神経のお部屋に到達すると虫歯菌は根の先の方へ進んでいきます。虫歯菌が根の尖端まで広がると、やがて根の尖端の周りに膿が溜まり根の周りの骨が溶けていきます。膿の範囲が大きくなると歯がぐらぐらと揺れてきて、抜け落ちてしまうことがあります。根の病気はとても恐ろしい病気なのです。根の治療は神経のお部屋に広がった細菌感染を取り除く作業です。唾液の中には数え切れない程の細菌が存在しており、ラバーダム防湿をしないで根の治療を行うと神経のお部屋を綺麗にした側から、唾液が神経のお部屋の中に流れ込んでしまい再感染のリスクが高まってしまうのです。ラバーダム防湿を行うことで唾液が神経のお部屋の中に入ることを防ぐことができる、つまり無菌的な環境を作ることができるのです。

無菌的な環境を作ることがなぜ重要なのかについて示した有名な論文があります。1965年にKakehashiらは、無菌状態のラットと通常のラットを用意し、それぞれのラットの歯に穴を開けて神経のお部屋が露出した状態で放置し経過観察したところ無菌ラットには病気ができることはありませんでしたが、通常のラット全てに病気ができ神経が死んでしまいました(※1)。この実験により、神経のお部屋の中に細菌がいなければ根の病気が起こらないということが証明されたのです。お口の中には数え切れない程の細菌が存在し、唾液の中にも無数の細菌が存在します。細菌を取り除く治療である根の治療では、ラバーダム防湿は非常に重要なものであると言えるでしょう。
ラバーダム防湿の他の利点としては、治療の際に用いる薬液が喉の奥へ流れていかないことや治療で用いる器具を誤ってお口の中に落としてしまうことを防ぐことができること、喉の奥に水が溜まりにくいことなどが挙げられます。初めてラバーダム防湿をする方の中には、息苦しいとおっしゃる方もいますが、慣れてくると非常に快適に治療を行うことができる方もいます。中にはリラックスして寝てしまう方もいます。根の治療の他に虫歯治療の詰め物や被せ物を装着するときなど、接着操作の際に湿気を取り除くことができるため非常に有効なツールであると言えます。

興味のある方は是非ご相談下さい。

(※1)Kakehashi S (1965) The effects of surgical exposures of dental pulps ingerm-free and conventional laboratory rats.

インドアビュー