奥歯を失うと脳の老化が進む

こんにちは。歯科医師の仲西です。

来たる6月7日は井上尚弥選手とノニト•ドネア選手の世界バンタム級の統一戦があります。

こちらの2人は2年前にWBSSの決勝で対戦して、判定で井上選手が勝利しています。

この試合では井上選手がとったダウンがカウント的に10カウントではないのか?など疑問の審判などあったものの、結果的に年間最高試合を獲得し素晴らしい内容でした。

今回はドネア選手がWBC世界チャンピオンを獲得したことで井上選手と再戦となりましたが、前回の試合も井上選手が苦戦した事で、俄然面白みが増しています。

再度戦う事で井上選手が圧倒するのか、はたまたドネア選手の伝家の宝刀を抜いて井上選手に土をつけるのか?骨格的にスーパーバンタム以上と言われるドネア選手の余裕も不気味です。

果たしてどうなるのでしょうか?結果が非常に楽しみです。

 

 

またしても関係がない話題から繋がりますが、奥歯の咬み合わせは重要という話題を一つしたいと思います。

今年に国立長寿医療研究センターの研究者の方が歯科的に重要な研究を投稿しました。

 

 

〈国立研究開発法人国立長寿医療研究センターの外来研究員の山田匡恵氏、口腔疾患研究部の松下健二部長をはじめとする研究グループは、臼歯(奥歯)を喪失することが脳の老化を促進することを老齢マウスモデルを用いて発見しました。

従来、高齢者における残存歯数の減少と認知機能の低下に関連があることが報告されていましたが、その詳細については不明でした。山田氏らは18月齢の老齢マウスの上顎の両側第一臼歯を抜歯し、その3ヶ月後同マウスの認知行動や海馬や視床下部における分子発現の変化を検討しました。

その結果、上顎の第一臼歯を喪失した老齢マウスでは顕著に自発行動量、空間作業記憶や運動協調性が低下するとともに、海馬および視床下部における神経栄養因子や神経細胞の減少が観察されました。

加えて、脳の老化の特徴の一つであるアストロサイトの増加(アストログリオーシス)が亢進することを発見しました。

本研究の成果は、口腔ケアに留意し自分の歯を健康に保ちつづけることが脳の健康に重要であることを示しています。

via Scientific Reports〉

 

 

歯科的に馴染みのないアストログリオーシスとは、中枢神経系に特異的な現象であり脳領域におけるホメオスタシスにより発生し、加齢や脳外傷、脳出血、アルツハイマー病などの神経変性疾患において見られる現象とのことです。

今回の研究では、歯の喪失が視床下部と海馬においてアストログリオーシスを誘導することを初めて明らかにしたとのことで、今まで歯科的には臼歯の咬合支持がなくなる事で認知症などのリスクが増えることは示唆されてきたものの、医科的に脳、海馬、視床下部などの分子や遺伝子まで立証されたことは初めてだということです。

義歯やインプラントに置き換えても維持されるのか?はたまた歯根膜感覚が重要なのか、臼歯の欠損だけのことか?など色々と疑問が湧いてきますが、後々の研究結果を待ちたいと思います。