口と歯の気になる症状(続編)

こんにちは。歯科医師の高橋(克)です。

本日は、保険治療でおこなう歯周治療の流れについてです。

①歯周ポケット検査

歯と歯茎の隙間の深さをポケット短針という道具で計測します。目安としては、4㎜以上で歯周病が部分的に進行していると判断されます。歯周ポケットからの出血や排膿があれば、炎症があると判断されます。それと、動揺度も計測されます。動揺度1から歯周病の影響やブラキシズムの影響があると、判断されます。プラークを染め出しして、プラークスコアを取ります。その後歯ブラシ指導があり、それと口腔内全体のレントゲン撮影。その他では、口腔内写真撮影。必要があれば、口腔内全体の歯並びの診断用模型を作るための型とり、それらをもとに、歯周治療の計画がたてられます。

②スケーリング

歯周病の原因と言われる、歯茎の上の歯の部分的に付着している(見える部分の)歯石を全体的に取ります。

③再歯周検査

歯茎の上にあった歯石を取ることで、どのくらい歯周ポケットが浅くなっているか、ポケット短針で、再検査をします。軽度な歯周病であれば、出血や排膿や動揺度の治癒が確認できれば、歯周治療は終了して、その後は定期検診へ移行します。定期検診では、プラークの染め出しとブラッシング指導は、その都度おこなうことになります。もちろん歯周検査をひと通りおこない、歯周病による骨の吸収具合を確認するために、定期的なレントゲン撮影も必要だったりします。

④歯肉縁下歯石の除去

再歯周検査で歯石が歯周ポケット内にまだ残存しており、炎症が認められる場合は、必要であれば麻酔をし、部分的に深いところの歯石を取ります。

⑤再々歯周検査

ここでまた、ポケット短針による検査があります。治癒が認められれば定期検診に移行します。

⑥歯周外科等

再々歯周検査で治癒が認められない場合は、麻酔をし、歯茎を開いて外科処置をおこなうことがあります。処置内容としましては、歯周ポケットの奥深く残っている歯石の除去や、余分な歯肉の切除や炎症部の原因因子の除去や掻把、骨が薄くなっているところの骨の再建手術などです。

⑦再再々歯周検査

ここで治癒が認められれば、定期検診に移行します。それでも治癒が難しいのであれば、残念ながら抜歯の可能性もあるかもしれません。

歯周治療は、継続して通院しなければ、なかなか治癒にたどり着けないことを歯科関係者は理解されていると思います。しかし、患者さんにとっては早く終わってほしいと望まれている方が殆どです。双方のニーズがうまく合致するために必要なことは、初期の歯周炎を発見し、歯周ポケットが深くならないうちに、歯石を定期的にこまめに除去し、速やかに定期検診に移行するサイクルを作ることが、今後の歯周病の重症化を防ぐコツだといわれます。事実、歯石は歯周ポケットが浅ければ浅いほど術者が除去しやすく、治癒がスムーズです。歯石をそのままにしていけば、どんどん歯周ポケットは深くなり、通常の歯石取りだけでは、治癒できなくなってしまうかもしれません。このことは、若い世代の方には特に有効な情報だと思っていただいて間違いはなさそうです。