みなさんこんにちは!歯科医師の秋葉です。
すっかり日も短くなり、肌寒い日が続くようになりましたね😢🍂
寒いときは顎がガタガタ震えてしまうことがありますが、みなさんの中には、顎関節症に悩まれている方は意外と多いのではないでしょうか。
顎関節症は歯医者さんで診てもらうもの、という認識が近年高まってきたため、「虫歯」「歯周病」に次ぐ 【歯科第三の疾患】 であるといわれています。
私も中学生くらいのときから、口を大きく開けると「ポキッ」という音が鳴ります。
調子が悪いときは口が大きく開くことすらできず、まるで顎にロックがかかったような状態になることもありました💦
身近だけど意外とよく知られていない「顎関節症」について、2回にわたって簡単にお話したいと思います。
顎関節症を語る前に、今回はまず顎関節の構造から説明します。
私たちは時々、口を大きく開けてあくびをすることがありますが、あくびをするときに口がどのくらい開いているかはご存知でしょうか?
平均で、女性でも50mm近く、体格の大きい男性なら60mm近く開く方もいます。
では、そのときに顎関節はどのように動いているのでしょうか?
この図からわかるように、顎関節は側頭骨の下の部分の「下顎窩」というところに収まっています。
そして骨と骨の間にはコラーゲン繊維が主体の「関節円板」というものが介在しています。
口が開くときには、まず顎関節は蝶番運動を行います。(つまり回転運動ですね)
しかしそれだけでは30mmほどしか口を開けることができません。
一定の大きさまで開けると、今度は顎関節が前下方に滑りこむような動きをしてもっと口を開けることができるのです。
その際に、顎関節がこの関節円板に乗っかったまま滑らかに動く状態が、正常な顎の動きです。
このように、顎関節は回転と移動を伴った動きをしており、これは顎関節の大きな特徴のひとつです。
耳の前に指を当てて口を大きく開けてみると、この2つの動きを感じることができると思います。
また、左右の顎関節は常に同じ動きをしているわけではなく、顎が前方へ移動する量や回転する量を左右で独立して調整することができます。
これにより、顎は左右に動いたり前方に動くことができます。
このように、口は縦に開くだけではなく、左右や前後に複雑にコントロールされることによって、色々な形態の食べ物を咀嚼したり、言葉を発したり、口に物をくわえたり、楽器を演奏したりといった、様々な動作を実現できるのです。
食べ物を右の奥歯で咀嚼中には、はじめに口を縦に開けて食べ物を入れた後、顎を少し右に移動させながら口を閉じていくことで上下の奥歯の間に食べ物を挟んで押しつぶし、これを繰り返すことで食べ物を細かく粉砕し、飲み込みやすくします。
そして、その複雑な顎関節の動きを支えるのに、「咀嚼筋」と呼ばれる筋肉たちが深く関わってきます。
大きくは「顎関節」「咀嚼筋」この2つが口の開閉運動に関与しており、
顎関節症はこの2つのうちどちらか、もしくはその両方が障害されることによって引き起こされる病態のことをいいます。
その詳しい分類や原因についてはまた次回お届けします。