糖尿病と歯周病

こんにちは。歯科医師の仲西です。

だんだんと肌寒くなってきて冬の気配を感じる日も出てきました。

ついこの間まで半袖で出歩いていたような気がするのですが、もう羽織るものが必要なほど気温が下がってしまい、季節の移ろいを早く感じます。

今年は秋らしさというのがあまり感じられなかったような気がします。

 

そして本題ですが、以前も投稿しました内容の中に、歯周病と糖尿病にはお互い影響しあう要因があるとお話ししました。

 

糖尿病になると余分な血糖は体内のたんぱく質と結合し体内の炎症を惹起され、機能を損ねてしまいます。

では、実際に糖尿病が歯周病に与えるのはいかほどのものなのでしょうか。

数々の文献における一先ずの結論としては、糖尿病の治療をすることで歯周病の状態は改善に向かうものの、完治には至らないということでした。

お互いに影響し合うといえど、歯周病と糖尿病ではそもそも原因が違うので、当然といえばそうかもしれません。

ただ、糖尿病は白血球などに影響を及ぼし感染のリスクを上げる病気であり歯周病は慢性的に炎症が続く病気なので、

糖尿病の治療をすることで歯周病の状態が改善するということは考えられると思います。

ただ現時点では糖尿病の治療をしても、歯周病は改善に至るものの完治には至らず歯周病の治療は不可欠であるという結論とのことです。

 

また逆に歯周病の治療をすることで糖尿病は改善するのでしょうか?

歯周病は、歯周病細菌の感染による感染症です。

歯周病を起こす細菌の多くは、グラム陰性菌と呼ばれる細菌群に属しています。

これらの菌は共通して内毒素と呼ばれる毒素を産生します。この毒素は非常に強力であるため、歯周病が重症化して毒素が生体に入り込むようになると、我々の体はこれを排除して何とか体を守ろうと努力します。

重症化した歯周病では歯の周りの組織が弱くなって容易に出血するようになるため、歯周病細菌の塊が直接生体に入り込むようになります。

この時、生体がこの細菌群の塊と接する面積がちょうど掌サイズになると言われています。

つまり掌の大きさの傷を負い、そこから毒素が体に入っていくイメージです。

この時、体を守る免疫システムを高度に活性化する物質を多量に産生します。

特に、内臓脂肪組織でこの物質を多量に産生するようになると言われています。

実は、この物質こそが、前項で述べたインスリンの効きを障害する物質と同じものであることが判明しました。つまり、何も高度に肥満を呈していなくても、歯周病のような盛んに内毒素を産生する菌に多量に感染し、毒素が容易に体内に侵入する環境下では、体が毒素を排除する際に、本来太った方の内臓脂肪で産生されインスリンの作用を障害する物質と同じ悪玉物質を作ってしまいます。

それが同じようにインスリンの働きを障害してしまうため、血糖が下がりづらい状態になっていることがわかってきました。

これにより、インスリンの作用不足が生じるため、血糖の管理が困難になります。よって歯周病をきちんと治療して、内毒素を排除(生体への侵入を断ってやる)すると、悪玉物質の産生が低下するため、血糖の改善が期待できると考えられるようになりました。

このように日本歯科医師会のHPには記載されています。

 

歯周病は意外と色々な病気と関係する万病のもとです。

歯周病をコントロールして、健康で長生きしましょう。そのお手伝いをさせて頂きたいと思います。