歯周病は予防できるのか part2

みなさんこんにちは。歯科医師の仲西です。

最近は暑い日と寒い日が不規則にやってきて、なかなか体調管理が難しいですね。

雨の日が続いたり気圧の変化があって体調がすぐれない方もいらっしゃると思いますが、健康に気を付けてご自愛ください。

 

そして前回の続きですが、糖尿病は歯周病のリスクファクターであり

逆に歯周病も糖尿病を助長する要因になると説明させて頂きました。

 

糖尿病ガイドライン2019によると高血糖状態が歯周病に与える影響として

①高血糖による脱水傾向から口腔が乾燥し、唾液の自浄作用が低下することで歯肉の炎症が起こりやすくなること

②高血糖による白血球の遊走能、貪食能、殺菌能などの機能が低下し、歯周病細菌に対する機能低下を生じること

③過剰な血中ブドウ糖がタンパク質と結びつき作られる最終糖化産物(advanced glycation endoproducts:AGEs)が歯周組織において重要な基質分子である1型コラーゲンやラミニンなどの機能的な性質を変化させること

などをあげています。

 

また1990年のNelsonらの研究によると

2 型糖尿病を高い頻度で発症するピマインディアンを対象に 2 年間隔で歯周病の新規発症率を 6 年間調べたところ、2 型糖尿病患者は非糖尿病者に比較して、歯周病発症率が 2.6 倍高いことが報告されました。

その後もあらゆる国において、糖尿病と歯周病の正の相関が示されています。

 

30年以上も前から、血糖値が高くなることで歯周病を悪化させてしまうという

歯周病のリスクファクターとして糖尿病が研究されてきたのです。

 

また逆に、歯周病が糖尿病や血糖値に与える影響としては以下のようなことが考えられています。

歯周病菌に多量に感染した場合、その菌が産生する内毒素が歯肉や粘膜の血管から容易に体内に侵入し、

その環境下では体が毒素を排除する際に、本来太った方の内臓脂肪で産生されるようなインスリンの作用を障害する物質と同じ悪玉物質を作ってしまいます。

それがインスリンの作用を弱めてしまうため、血糖値が下がりにくくなるようです。

そのため歯周病を治療し管理することが、糖尿病の改善にもつながるのではと言われるようになってきました。

 

歯周病の治療をすることで糖尿病を改善することにつながったり

間接的な影響になりますが全身性の疾患への影響を少なくしたり

歯周病を治療することはさまざまなメリットがあります。

 

糖尿病に限らず喫煙者の方や妊婦さんにも歯周病は関わってきますので

対岸の火事と思わず、歯周病の治療に対する意識を持っていただければと思います。

part3に続く