歯磨き粉の選び方

みなさん、こんにちは。歯科医師の伊勢円です。

 

新年度になり、生活がガラッと変わった方もいらっしゃるのではないでしょうか?新しい環境になるとなんだかすごく疲れてしまったり、体調も崩しやすくなるような気がします。こんなご時世ですし、体調管理には気をつけたいものですね。

 

さて、みなさんは普段歯磨き粉はなにをお使いでしょうか?スーパーやドラッグストアなどでもたくさんの種類が置いてありますね。

 

歯磨き粉には様々な効果があります。歯磨き粉の効能を理解して目的にあったものを選べば、しっかり虫歯予防できることが分かっています。

 

まずチェックするべきは、歯磨き粉のチューブや外箱の成分表示欄です。

 

医薬部外品の表示があるかどうか

薬用成分の欄にモノフルオロリン酸ナトリウム(Sodium monofluorophosphate)、フッ化ナトリウム(Sodium fluoride)、フッ化第一スズ(Stannous fluoride)いずれかの表示があるかどうか

 

これらを確認してみて下さい。虫歯予防の効果を得るにはフッ化物(フッ素と他の元素との化合物)が含まれているものを選んで下さいね。現在、日本の市場で販売されている歯磨き粉の約9割にはフッ化物が含まれています。

 

また、歯磨きの仕方にもポイントがあります。

 

フッ化物による虫歯予防のメカニズムは、歯磨きした後に歯面、歯垢、粘膜、唾液などによって保持されたフッ化物イオンが再石灰化、酸産生抑制することです。つまり、お口の中全体にある程度のフッ化物が長時間保たれることが重要になってきます。

 

そのため、

歯磨き粉を歯面全体に広げる

歯磨き剤の泡立ちを保つように歯磨きする

少量の水でうがいする

歯磨き後、12時間は飲食をしない

ことがポイントになります。

 

歯磨きをした後はしっかりとお口をゆすぎたい!という方は、ダブルブラッシング法がおすすめです。1回目の歯磨きでお口の汚れを落としてうがいした後、適量の歯磨き粉をブラシにとり歯の表面にのばして、その後軽くすすげば大丈夫です。

 

ただし、注意していただきたいのは、歯磨き粉を口の中に入れたからといって100%虫歯にならないというわけではない、ということです。臨床試験では、フッ化物配合の歯磨き粉による虫歯の抑制率は20%30%と出ています。エナメル質のイオン交換などを利用して少しづつ歯の表面を改善していくため、効果は穏やかです。しかし、予防効果が20%30%であっても、日々の積み重ねによってすばらしい効果をうみだします。毎日コツコツ続けていくことが重要なんですね。