コンポジットレジンとは?

みなさん、こんにちは。歯科医師の伊勢円です。最近急に寒くなり、乾燥する季節になってきましたね。そろそろ保湿クリームの出番でしょうか

 

今回はコンポジットレジンについてです。

 

数十年前までは、奥歯の虫歯の治療といえば金属を使うという時代が長い間続いていました。みなさんの中にも、虫歯を削った部分をアマルガムという材料で治療してる方がいらっしゃるかと思います。

 

ですが、30年ほど前から歯と一体となってくっつく画期的な歯科材料が日本で実用化されました。それがコンポジットレジンです。コンポジットレジンは、保険適用を受けて一般の歯科医院で普通に使われている材料です。

 

コンポジットレジンは、メタクリルレジン(有機高分子)に無機質のフィラー(シリカなど)を組み合わせた複合(コンポジット)材料です。色が白くて見た目が良く(口腔内で使用してるうちに、飲食物などの色素によって着色することがあります。)、近年改良が進み耐久性も良いので(場合によっては)奥歯にも使うことができます。

 

コンポジットレジンが実用化されたのは1964年です。当時はBis-GMAというメタクリルレジンにシリカの粉末を混ぜたものでした。その後、材料はどんどん改良され、現在では耐久性、耐摩耗性に優れたものが多く実用化されています。耐久性の向上はフィラーの進歩によるところが大きく、フィラーの素材や形を工夫し、大きさをナノサイズまで小さくしたり、含有量を変えたりしてフィラーとレジンの結合を強化しています。

 

コンポジットレジンを直接歯に詰める場合、虫歯に感染した歯質を除去し、接着操作を施してコンポジットレジンを詰めていきます。

 

コンポジットレジンには歯との接着性はありませんが、接着性レジンシステムを使うことで歯と一体化させることができます。接着操作と言ってもそんなに難しいものではなく、歯質に接着剤を塗布します。(接着剤にも様々な種類があり、製品によって使用方法が違かったりしますが、どの製品も優れた性能を持っています。)

 

その後、ペースト状のコンポジットレジンを光重合させて硬化させます。重合とは、モノマーを化学反応によってポリマーに変化させて硬くすることをいいます。コンポジットレジンにハロゲンランプ、キセノンランプ、LEDといった強い光を当てて重合させます。(日常でも耳にしますね。可視光ですが、光の強度が強いため直視は厳禁です!)

 

直接コンポジットレジンを詰める方法であれば、即日での治療が可能です。ただし、虫歯の大きさや場所、削った形によってはコンポジットレジンが使えない場合もあります。また、保険が適用されてない材料もありますし、高度なテクニックが必要な場合は取り扱いできないことがありますので、事前に確認してみてくださいね。