口と歯の気になる症状(続編)

こんにちは。歯科医師の高橋(克)です。

本日はブラキシズムについて書いていきたいと思います。

過去に購入した書籍からの抜粋です。

 

「ブラキシズムによる口腔疾患(障害)について

1 歯・歯質の障害

咬耗、エナメル質のクラック、歯冠の破折、歯冠修復物および補綴装置の破損、歯頚部欠損、う蝕の発生、根尖病変

2 歯周組織の障害

歯肉退縮、歯周ポケット形成、歯槽骨吸収、歯の動揺、外骨症

3 咀嚼筋の障害

咀嚼筋の緊張、咀嚼筋の肥大、咀嚼筋の疼痛(鈍痛)、頭痛

4 顎関節の障害

顎関節の不快感、疼痛、雑音、開口障害、内障

5 その他の障害

心理的緊張、疲労、不正咬合、インプラントの破折」

など。ここで注目していただきたいのが、「歯冠修復物および補綴装置の破損」「う蝕の発生」「根尖病巣」「インプラントの破折」という症状です。

ブラキシズムは、簡単に説明すると習慣性の歯ぎしりや食いしばりのことですが、ただが夜の歯ぎしりごときでこのような症状が出現するのかと、

疑問に思われる方が沢山いらっしゃると思いますが、実際のところ原因不明な症状のほとんどが、

このブラキシズムによって引き起こされている可能性はかなり高いのではないかと考えられています。

ここでまた抜粋です。

 

「ブラキシズムによる歯・歯質の障害

これまでの咬合あるいは顎運動に関する研究の多くは、咀嚼のメカニズムや咀嚼に関わる咬合を基礎としている。

しかし、咀嚼によって上下の歯が接触する時間は極めて短い。

これに対してもっとも強力な咬合力を発揮するのは、睡眠ブラキシズムであり、歯科臨床で問題となっている咬耗、アブフラクション、外骨症、

歯周組織の破損、顎関節内障、筋緊張などの口腔疾患の原因は、睡眠ブラキシズムの考慮なしには、説明できないものである。

それゆえに、不正咬合や咬合理論は睡眠ブラキシズムを基礎において理論体系を再構築する必要がある。」

と、なっています。

私たち歯科関係者が直面するトラブルの原因が、そこにあるとするのであれば、ブラキシズムに対しての何かしらの対応は、特に予防歯科を重点として考えるならば、

必須条件となるのではないかと思われます。

う蝕や歯周病の予防や治療をひたすら持続していても、そこの原因がブラキシズムにあれば、再発は必ずありえるのです。

例えば、患者さんと長い時間を費やして頑張った根管治療がようやく終わったとします。

根管治療は完璧であってもブラキシズムにより症状が再発なんて悲しすぎます。しかしこれは実際のところよくある症例なのではないでしょうか。

俺の治療は完璧だと、ブラキシズムを軽視するDrもいるかもしれませんが、思わぬ落とし穴にはまってしまう前に

ナイトガードやマウスピースによる治療を積極的におこなっていくことで、患者さんの歯を守ることができたらそれはそれで素晴らしいことなのではないでしょうか。

参考文献:ブラキシズムの臨床 佐藤貞夫/玉置勝司/榊原功二 著より