むし歯じゃないのに歯が欠ける?

みなさん、こんにちは。歯科医師の伊勢円です。暑い日が続いていますね。こまめに水分を摂ったり、うまく冷房を活用するなどして、体調には気をつけたいですね。

 

さて、みなさんはヒトの永久歯が何本あるかご存知でしょうか?歯の本数は親知らずを含めて32本、親知らずを除けば28本が一般的です。意外と知らない方が多いのではないでしょうか。

 

歯の硬い部分(硬組織)はエナメル質、象牙質、セメント質の3つの異なる組織から形成されています。そのうちのエナメル質は非常に硬く、エナメル質を削るときにはダイヤモンドの粒子を使わないと削ることができません。

 

しかし、エナメル質の厚さは一番厚いところでも約2mm、薄いところでは1mm以下しかありません。意外と薄いですよね。そのうえ歯には、細菌や硬い食べ物、すっぱい飲み物などが触接触れており、咀嚼時には最大で体重に相当する咬合力が加わっています。

 

そんな過酷な環境下にある歯ですが、なるべくならずっと歯を残していきたいですよね。そのためには、まずはむし歯や歯周病にならないようにお口の中を清潔に保ち、定期的に専門的な指導を受けることも重要です。

 

また、むし歯ではないのに硬組織が欠けたり溶けたりすることがあります。

 

くさび状欠損(wedge-shaped defect)

むし歯に次いで多い硬組織疾患です。歯ブラシの横磨きによる過度な力が加わること、またかみ合わせによって歯と歯茎のさかい目部分が欠けてしまうことをいいます。

 

咬耗症(attrition)

歯と歯、歯と食べ物が繰り返し接触することにより接触しているエナメル質や象牙質が欠けてしまう状態です。歯ぎしりやくいしばり、食べ物や嗜好品の硬さなどによります。

 

摩耗症(abrasion)

研磨性の強い歯磨き粉を使った過度の歯ブラシの不正使用、パイプの常用などによって歯が欠ける習慣性のもの、大工、ガラス職人、美容師など道具を咬むことによって歯が欠ける職業性のものがあります。

 

酸蝕症(erosion)

酸性のスポーツ飲料や健康飲料・食品の多量摂取や妊娠、ストレスによる嘔吐の繰り返しで歯が溶かされてしまうことです。

 

歯ブラシをする時に強い力でゴシゴシ何度も磨かかない、健康のためにお酢を飲んだり柑橘系の果物を摂取したりする場合はそういった食品を長時間口の中に溜めておかないなどのちょっとした改善、工夫が必要です。何気ない習慣にかかわることばかりですので、ぜひ一度、ご自身の生活を振り返ってみてください!