ミニマルインターベンションとは?

みなさん、こんにちは。歯科医師の伊勢円です。ムシムシジメジメした天気が続いていますね。毎朝、今日の服装をどうしようか悩んでしまいます。マスクもするとなると、蒸れて暑くて汗が止まりません…😣

さて、今回はミニマルインターベンションについてです。みなさんはこの言葉を聞いたことがあるでしょうか?

ミニマルインターベンション(Minimal Intervention)は、2002年にFDI(国際歯科連盟)が、世界の歯科医師に向けて行った声明です。

「最小限の外科的侵襲」という意味です。もう少し分かりやすく言うと、「健康な歯を出来るだけ削らない治療」「むし歯の進行度にあわせた、出来るだけ歯を削らない治療法」という意味です。

2002年10月の第90回FDI総会で「ミニマルインターベンションによるう蝕管理の原則に関する公式声明」が新たに採択されました。

1.口腔内細菌叢の改善(modification of the oral flora)
2.患者教育(patient education)
3.う窩を形成していない初期エナメル質および象牙質う蝕の再石灰化(remineralisation of non-cavitated lesions of enamel and dentine)
4.う窩を形成した病変への最小限の外科的侵襲による修復処置(minimal operative intervention of cavitated lesions)
5.修復物のリペア(repair of defective restorations)

これら5つの原則から構成されています。
1〜3については、「口の中の細菌の数をコントロールして清潔に保つこと」「なぜむし歯ができるのか患者さんに教えること」「穴が空いてないむし歯は削らずに再石灰化させること」これらは今までの研究で得られた効果的なむし歯を予防する方法、進行を抑える方法です。4・5は「穴が空いてしまったむし歯は、なるべく健康な歯を削らないようにし、欠けたりむし歯になってしまった修復物は修理すること」これは歯科材料の進化によって推奨された新しい治療方法です。

例えば、
・奥歯の金属の詰め物が外れてしまったが、外れた金属を少し修理してもう一度装着された。
・小さなむし歯を治療されなかった。
これらはミニマルインターベンションに基づいた処置と言えるわけです。

もちろんお口の中の状態によっては、積極的に削って詰める治療をしなくてはいけない場合もあります。

できるだけ削らない治療によって歯を守ることで、ずっと自分の歯でいられることが、人生を豊かにするうえで大事なことですね。