歯周病の治療

みなさん、こんにちは。歯科医師、関です。

4月も終わりますが、まだまだコロナウイルスの脅威は続いていますね。不要不急の外出を控え、手洗い・うがいを徹底するようにしたいです。

 

さて、今回は歯周外科治療をテーマに豆知識をお話ししたいと思います。

 

歯周病の治療には、大きく分けて非外科的治療と外科的治療の2つがあります。

一般的に、外科とは、薬剤による治療である内科と対照的に、手術など外科手技による治療です。

虫歯を削ったり、歯石を取ったりとほぼ全ての歯科治療は厳密には外科治療のカテゴリーになりますが、歯周病治療においては、歯肉・粘膜を切開・剥離し縫合する比較的侵襲の大きい治療を外科的歯周治療とし、それ以外を非外科的歯周治療としています。

 

全ての歯周病患者さんに非外科的な歯周治療であるスケーリングやルートプレーニングが初めに行われます。いわゆる歯石取りですね。

しかし、非外科的な歯周治療を行っても歯周病の治癒が良くない中等度~重度の歯周病の場合は、外科的歯周治療を行うことがあります。

 

そもそも、歯周病の原因は、歯の表面に着いた汚れの中の歯周病菌です。歯周病菌に対する免疫の炎症反応により、歯茎は腫れ、歯を支える骨や靭帯が破壊されていきます。これにより、歯と歯茎の間に歯周ポケットと呼ばれる深い溝をつくります。

深いポケットができると、その中に汚れが着いても歯ブラシで磨くことはできません。ブラシの毛先は深いところまで届かないのです。歯周病の治療では、歯周病菌の住み家である汚れを取ることが治療のメインですが、歯周病の進行度合いにより、その難易度が変わってきます。

 

非外科的な歯周病治療でも歯周ポケット内の汚れを取りますが、どんなに熟練した歯科医師や歯科衛生士でも、一定以上に深い部分や歯根の形態が複雑な部分はどうしても器具が到達できず汚れを取り切れません。

非外科的歯周治療で歯茎の中のどこまで汚れをとることができるか調べた研究があります。それによると、汚れが残っている確率が3mm以下の浅いポケットでは11%、3~5mmの中等度のポケットでは39%、5mm以上の深いポケットではなんと89%という結果でした。

浅いポケットや中等度のポケットの軽度や中等度の歯周病では、非外科的歯周治療により十分に治療可能ですが、重度の歯周病になると非外科的歯周治療だけでは中々難しいことが分かります。

 

外科的歯周治療にも、様々な術式がありますが、多くは歯茎を切開・剥離することで、非外科的歯周治療において直視できなかった部分を、直視下で、目で見て汚れを取ることができます。

当院では、積極的な歯周外科治療は行っていませんが、口腔内の状況によって必要な場合は歯周外科治療も検討しています。