こんにちは。歯科医師の高橋(克)です。
本日は前回と同様に、口腔粘膜疾患の鑑別について書いていこうと思います。
「口腔粘膜疾患の色から診た疾患の鑑別について」
白色病変について
白斑症・肥厚性カンジダ症・乳頭腫・頬粘膜の白線・摩擦性角化症・ニコチン性口内炎などは、上皮の厚さと角化の強さなどが原因で白く見えたりします。
扁平上皮癌や潰瘍性口内炎は、潰瘍部の線維素や壊死組織などのために白く見えたりします。
偽膜性カンジダ症は、微生物などによって。舌苔は、微生物や剥離上皮などの原因によって白く見えたりします。
赤白色混在病変について
非均一型白斑症・口腔扁平苔癬・地図状舌などは、上皮の厚みと角化の強弱などにより紅白色混在したものに見えます。
その他はアフタやヘルパンギーナなどは、びらんや潰瘍と血管拡張などによって紅白色混在した色に見えます。
黄色病変について
アミロイド―シスなどは、異常タンパクの蓄積によって黄色く見えたりします。
その他フォーダイス班などは、異所性の皮脂腺なので黄色く見えたります。
黒色病変について
生理的色素沈着や色素性母斑や全身疾患に伴う色素沈着などがあり、それらは内因性の色素など。
歯科金属による歯肉色素沈着(よくあります)は、外来性の色素等。黒毛舌などは、微生物の色素などにより沈着を起こすと考えられています。
赤色・暗赤色病変について
紅班症・紅班性カンジダ症・粘液嚢胞・萎縮性舌炎などは、上皮が薄いため、赤く見えることがあります。
また、紅班症・広汎性カンジダ症・血管腫・カタル性口内炎などは、血流が豊富なため、赤く見えることがあります。
紫斑病や出血性素因や血種などは、出血などが原因により、また正中菱形舌炎などは、無対舌結節などにより、赤く見えることがあります。
正常粘膜色の病変についても、血管性浮腫・義歯性繊維種・フラビーガム・繊維種・歯肉増殖症・多形線腫・粘液嚢胞・外骨症などがあげられます。
口腔粘膜疾患の色についての鑑別は、人それぞれに感じ方が違うので、形や原因発症から遡り、専門家により診断されるのが、本来のものだと思います。
ここに書いてあるものは、あくまでも疑わしい病変のことであり、症例数の多いもので、すべての口腔粘膜疾患について網羅しているわけではありません。
専門家でなければ、くれぐれも、ご自身で診断されずにいただければと思います。
心配であれば、主治医の先生やセカンドオピニオンのもとで、しっかりと診断を受けていただければと思います。
参考文献「チェアサイド・介護で役立つ 口腔粘膜疾患アトラス どこで見わけてどう対応?」中川洋一先生著より