ノンクラスプデンチャーについて

こんにちは。歯科医師の角田です。
本日は当院でも扱っております、ノンクラスプデンチャーについて、選択するメリットとデメリットを中心に説明させて頂ければと思います。

また、今回の歯の豆知識の内容は日本補綴学会より発行されました、『熱可塑性樹脂を用いた部分床義歯(ノンメタルクラスプデンチャー)の臨床応用』のポジションペーパーより、その内容を一部まとめさせて頂いています。その全文については、以下より確認が可能となっています。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/ajps/5/4/5_387/_pdf/-char/ja

まず、ノンクラスプデンチャーとはどんなものを指すのでしょうか。
このポジションペーパーによると、現在ノンクラスプデンチャーという言葉に明確な定義はなく、広義に『義歯の維持部を義歯床用の樹脂を用いて制作したパーシャルデンチャーの総称』の事をそう呼称しています。

ノンクラスプデンチャーを選択するメリットとしては、以下が挙げられます。

1、 審美性に優れている点
一般的なパーシャルデンチャーに用いられるメタルクラスプでは、金属色が外観にふれて目立つ場合がありますが、ノンクラスプデンチャーではクラスプ部が樹脂材料である為に、審美性を有した治療を行う事が出来ます。

2、 装着感が良い点
一般的にパーシャルデンチャーに用いられるアクリルレジンと比較して、ノンクラスプデンチャーに用いられる樹脂は比重が軽い物が多く、軽量化されている為に、装着感が良いとされています。

3、 金属アレルギーの患者さんにも対応出来る点
金属を全く使用せずにパーシャルデンチャーを作成する事も可能である為、金属アレルギーの患者さんにも応用が可能です。

デメリットとしては以下が挙げられます。

1、 修理、調整が困難である点
ノンクラスプデンチャーのクラスプ部分が破折した場合、歯科医院での修理が非常に困難です。また、使用される樹脂の種類によってはパーシャルデンチャーが緩い場合に行う裏打ちの処置などが出来ない可能性があります。

2、 歯周環境の増悪が懸念される点
ノンクラスプデンチャーでは、維持部にて歯頚部を大きく覆う為に汚れが溜まりやすく、歯周疾患の増悪が懸念される為に、清掃への注意が必要になります。

3、 自費診療である点
ノンクラスプデンチャーは保険外診療となっており、自費診療として患者さんの負担が増してしまいます。

以上がノンクラスプデンチャーにおけるメリット、デメリットとなっています。
次回ではもす少し詳しく、ノンクラスプデンチャーが勧められる場合などをまとめさせて頂ければと思います。