歯周病になりやすい人?②

みなさん、こんにちは。歯科医師の関です。

9月に入りましたが、残暑が続く日々ですね。僕は、秋も好きですが暑い夏が1番好きなので、まだまだ暑い日々が続いてほしいです。

 

さて、今回の豆知識のテーマは、前回に引き続き、歯周病のリスクファクタ-についてです。

前回は、局所的なリスクファクタ-についてでしたが、今回は全身的なリスクファクタ-についてです。

歯周病は感染症であり、慢性炎症性疾患であるため、体全身の健康状態が、なりやすさや進行度合いに影響を及ぼします。

 

以下に歯周病の全身的リスクファクタ-を挙げます。

 

①年齢

年齢は、リスクファクタ-の1つです。高齢なほど歯周病のリスクは高いです。年齢とともに免疫力が低下し、唾液量低下による自浄性が悪くなります。また、年齢とともに以下に挙げる全身疾患に罹患が増えることも要因として考えられます。

 

②糖尿病

糖尿病と歯周病の密接な関係は広く知られていると思います。歯周病は、糖尿病の6番目の合併症とも言われています。糖尿病で高血糖状態にあると、免疫力が低下し感染症である歯周病は進行しやすくなります。また、糖尿病は進行すると抹消血管を破壊しはじめ、当然歯茎の毛細血管も破壊され歯周病に影響を与えます。

さらに、逆に歯周病の存在が糖尿病に悪影響も与えます。歯周病の状態が悪いと、お口の中で炎症性サイトカインというものが多く産生されます。これは血流に乗り、糖尿病の原因であるインスリンの抵抗性を増大させ、糖尿病を悪化させます。

現に、歯周病治療により糖尿病のコントロール指標であるHBA₁cが改善することが分かっています

 

③肥満

以外に思うかもしれませんが、肥満も歯周病のリスクファクタ-の1つです。

肥満の方は、脂肪組織が多く、脂肪細胞が多いです。過剰な脂肪細胞はアディポカインという物質を過剰分泌し、これにより、歯周病、糖尿病含め、あらゆる慢性炎症性疾患に悪影響を与えます。

 

④骨粗鬆症

骨密度、骨強度の低下が起こる骨粗鬆症は、歯を支える骨である歯槽骨の破壊・吸収が主病態である歯周病にとって、リスクファクタ-となります。

 

⑤服用薬

薬の種類によっても歯周病に悪影響を及ぼすものがあります。主に3種類が知られており、抗てんかん薬のフェニトイン、降圧薬のニフェジピン、免疫抑制剤のシクロシポリンです。これらの薬による副作用で歯肉が増殖する薬物性歯肉増殖症という歯周病があります。

 

⑥ホルモン変化

女性特有のリスクファクタ-となりますが、思春期、妊娠、更年期などホルモンバランスが変化する時期は、歯周病リスクが高いです。ホルモン変化による口腔内の細菌叢の変化や、唾液粘性の増加により歯周病が悪化しやすくなります。

 

⑦喫煙

喫煙は言わずもがな、歯周病のリスクファクタ-です。タバコの煙に含まれるニコチンは歯茎の血流を阻害し、一酸化炭素は酸素欠乏をもたらします。これにより歯茎の栄養状態は悪化します。また、タールが歯に沈着することで歯垢や歯石が付きやすくなります。さらに、長期間の喫煙により、全身の免疫力が低下します。

一見、タバコを吸うと、ニコチンによる血流低下により歯茎の腫れや出血が起こりづらくなるため、歯周病に気づきにくいですが、このように喫煙は歯周病に悪影響を与えます。

 

以上、歯周病の全身的なリスクファクタ-でした。細かく言うとまだまだリスクファクタ-はありますが、代表的なものを挙げました。

みなさんも自身が歯周病のリスクが高い人なのかどうか、前回・今回の内容から考えてみて下さい。そして、セルフケア・定期的なメンテナスをどの程度気を付けなければならないのかの参考にして下さい。