みなさん、こんにちは。歯科医師の関です。
8月になり暑い日が続きますね。今年の夏は、例年よりもとても暑いように感じます。冷房のかけ過ぎで風邪をひかないように気を付けたいものです。
さて、今回も歯周病についてです。今回は歯周病のリスクファクタ-について説明します。
同じ食事をしていても太りやすい人、太りにくい人がいたり、筋肉がつきやすい人、そうでない人がいるように、病気にもなりやすい人、なりにくい人がいます。当然、歯周病にも元々リスクが高い人、そうでない人がいるわけです。
同じように歯磨きをしていても、歯周病の進行が急激な人もいれば、ほとんど進行しないような人もいます。
歯周病のリスクファクタ-は、大きく分けて局所的なものと、全身的なものに分けられます。
今回は、局所的なリスクファクタ-についてお話しします。
局所的なリスクファクタ-は、汚れが付きやすい、磨きにくい口腔内の構造です。
①自然因子:先天的なリスク及び生理的なリスク
・歯石
…歯石とは、歯垢が石灰化し硬くなったもの。表面がザラザラしているので歯垢が付きやすい。
歯ブラシでは歯石は取れないため、専用の器具で除去が必要。
・叢生
…ガタガタの歯並びのこと。歯並びが悪いと歯垢は付きやすく、磨きにくい。
矯正治療により改善できる。
・狭い歯根間距離
…歯の根の間の距離が近いと、根の間の骨がその分薄くなる。骨に厚みがないと歯周病により吸収しやすい。
・オープンコンタクト
…歯と歯の間が空いている状態。食事により空いている歯と歯の間に食べ物が押し込まれる。
矯正治療または補綴治療で改善できる。
・歯の形態異常
…歯自体の形に異常(深い溝や突起)があり歯垢が付きやすい場合がある。
形態不良部分を専用の切削器具で修正する。
・歯肉退縮
…元々より歯茎が下がった状態。歯の根が露出し、磨くとしみやすい。
歯肉、結合組織移植により改善できる。
・小帯の高位付着
…口の中にあるヒダが強く張っている状態。汚れがたまりやすい。
小帯切除により改善できる。
・角化歯肉不足
…歯に近い部分の歯茎は角化といって摩擦に強い構造しているが、角化している部分が狭いと痛くて磨けない。
歯肉、結合組織移植により改善できる。
・口腔前庭狭小部
…歯ブラシを入れるスペースが狭く、磨けない。
口腔前庭拡張術により改善できる。
②医原性因子:不適当な歯科治療によるリスク
・セメント残留
…被せ物や詰め物を着ける接着剤をセメントという。着けるときは必ず余分なセメントがはみ出るが、
はみ出た部分を取り切れていないと歯周病のリスクとなる。
専用の器具でセメントの除去または、補綴のやり替えが必要。
・不適合補綴
…被せ物や詰め物と歯の境目が合っていないと、その部分に汚れがたまる。
補綴のやり替えが必要。
・ポンティック形態不良
…ブリッジのダミーの歯の部分をポンティックという。ポンティックの形態が悪いと上手く磨けない。
ポンティックの形態修正またはブリッジのやり替えが必要。
・オーバーカントゥア
…被せ物の豊隆が強すぎること。うまく磨けない。
形態修正またはやり替えが必要。
以上が、局所的な歯周病のリスクファクタ-です。このようなリスクファクタ-のある口腔内では、ただ歯ブラシで磨くだけでは磨くことが困難なため、歯周病が進行しやすいです。より注意して様々の器具を使用して清掃したり、リスクファクタ-を除去するような治療が必要となってきます。