インプラントって安全なの?パート2

みなさん、こんにちは。歯科医師、関です。

3月も終盤に差し掛かり暖かくなるとともに、花粉の脅威を感じる今日この頃ですね。私は重度の花粉症なので薬は欠かせませんし、外出時にマスクは外せません。早く花粉の時期が過ぎ去ってほしいと願う日々です。

 

さて、今回も前回に引き続き『インプラントの安全性』について述べていきます。

前回のおさらいですが、①インプラント手術は一定の侵襲があるため、ある程度の全身の健康状態が求められ、安全にできる健康状態だと診断できないと行えません。②手術環境も一般の歯科治療より徹底した衛生管理をします。また、③手術時に顎骨内・周囲の神経、血管や上顎洞を絶対に損傷しないように手術計画を立てます。

 

③の解剖学的に大事な構造を損傷しないようにするためのより安全性の高いシステムとしてガイデッドサージェリーというものが存在します。今回は、このガイデッドサージェリーについて説明します。

 

○ガイデッドサージェリーとは…

CTレントゲン画像より得られた顎骨と歯の3次元データを元に、パソコン上の3Dシュミレーションソフトより、最終的なかぶせものの位置・形からそれに対する理想的なインプラントの埋入位置、インプラントの種類、安全域などすべてをシュミレーションし、実際の手術でその位置に正確に埋入できるようにサージカルガイドを利用したインプラント手術のことです。

通常のフリーハンドのインプラントオペでは、程度の差はありますが理想の位置、角度、深さからズレが生じてしまいます。これにより最悪の場合、神経、血管、上顎洞の損傷を招いてしまう可能性があります。

 

○サージカルガイドの種類

ガイデッドサージェリーで用いられるサージカルガイドには2種類あります。

⑴ガイドタイプ

歯科用インプラントではガイドタイプが主流です。

シュミレーションから得られたデータから手術で使うマウスピースのようなものを製作します。マウスピースにはインプラントを埋入する位置に穴が開いており、マウスピースを口にはめた状態で、その穴の位置に手順道理にドリルを入れることでシュミレーションした位置にズレなく埋入できます。ドリルにはストッパーを着けられ、計画した位置より深く入ることもありません。

 

⑵モーションキャプチャータイプ

整形外科の領域で積極的に取り入れられているもので、歯科インプラントでは大きな病院でないと使われていないものでしょう。

術者が持つハンドピースにLEDを取り付け、その位置をカメラで追跡し、そのデータと事前のCT画像より得られたシュミレーションデータを重ね合わせ、手術中の器具の位置、角度、深さをリアルタイムで画面上に表示されるシステムです。術者は目でそれを確認しながら手術ができます。

 

○ガイデッドサージェリーのデメリット

より安全で正確なガイデッドサージェリーですが、デメリットもあります。まず1つは費用です。ガイデッドサージェリー用の手術キット、シュミレーションソフト、サージカルガイドなど、使用しない場合に比べコストがかかるため、単価も高くなりがちです。

ガイドタイプのデメリットとしては、開口量が十分ないと使用できない場合があること、モーションキャプチャータイプはそもそも取り入れている施設が少ないこともデメリットに挙げられます。