象牙質知覚過敏

こんにちは!歯科医師の平山です。

象牙質知覚過敏症は普段診療している中で、症状を訴える患者さんが多い疾患です。誘発する原因も多岐に渡り複合的な原因で発生していることも多く、なかなか完全に治癒することが難しい疾患です。

今回は象牙質知覚過敏症について書きます。

象牙質知覚過敏症は生活習慣が原因となっていることも多く、診療の中では原因が見つけにくいことも多いです。

ぜひ象牙質知覚過敏症について知っていただき、自分で予防できることを見つけていただけたらと思います。

象牙質知覚過敏症は、エナメル質やセメント質が欠損した状態で、冷温、擦過、化学刺激により、露出している象牙質に一過性の鋭い痛みが生じる症状で、好発部位は、犬歯、小臼歯の唇頬側歯頚部です。25~45歳に頻発し、比較的若い世代に多く発症します。

また、我が国では超高齢化社会に突入しており、高齢者においてもくさび状欠損や歯周病の進行に伴い根面が露出した状態の方が増加する傾向にあります。そのため、歯肉退縮により露出したセメント質の摩耗による、一過性で持続しない痛みを感じる象牙質知覚過敏症が生じます。さらに、歯を白くしたいとの希望から漂白処置(ホームホワイトニング、オフィスホワイトニング)を行う人が増加傾向にあり、漂白直後および漂白中の象牙質知覚過敏症の発生率が55~75%(軽度含む)あったとの報告もあります。

 象牙質知覚過敏症の発生原因

  1. エナメル質とセメント質の位置関係

エナメル質とセメント質が接触していない歯は、歯肉の退縮によって露出した後に、象牙質知覚過敏症になりやすいことがわかっています。

また、くさび状欠損部の露出した象牙質表面の象牙細管の開口により象牙質の感受性が増大し、象牙質過敏症が生じることも分かっています。

発生割合(%)

2. 不適切なブラッシングや歯間ブラシによる摩耗

高い歯磨き圧や硬い植毛の歯ブラシによる過度のブラッシングを行なっていると、歯面に対する長期間の機械的作用によって唇側の歯肉が退縮し歯根面が露出します。その結果、セメント質が消失して象牙細管が露出して刺激を受けます。

また、長期間同じ歯間ブラシを使用し続けると歯間ブラシの植毛を支えていたワイヤーがむき出しになり、ワイヤーが歯頚部により繰り返し触れることになり知覚過敏を発症させることもあります。

3. 歯周病

歯肉が退縮し、象牙質が露出した結果、もしくは、エナメル質が咬耗したり、磨耗して、知覚過敏をおこします。

4. 酸性飲食物の嗜好

酸性飲食物の摂取によって口腔内のpHが臨界pH以下に下がった状態が持続した結果、表在の歯質の脱灰に続いて、エナメル質の実質欠損がおこって最終的に露髄にも発展します。

5. ドライマウス(口腔乾燥症)

唾液分泌量の減少が原因で脱灰がおこり再石灰化が減少すると知覚過敏が発生します。

6. 胃酸の逆流

ストレスやダイエットが原因の逆流性食道炎(胃食道逆流症)などでも、胃酸の逆流をおこし、脱灰による知覚過敏がおこります。

7. オーバースケーリング・ルートプレーニング、超音波スケーラーの誤用

8. 歯の漂白

9. 咬合異常

7以降の原因の詳細はまた次回にお話ししたいと思います!