歯周病と糖尿病

こんにちは。歯科医師の鈴木敬です。

最近、急に寒くなって来ましたね。朝、夜がとくにつらいなと思っています。

みなさんお体にはお気をつけ下さい。

今回は糖尿病と歯周病に関してお伝えしたいと思います。最近では、知っている方も多くなっているかと思います。2つの疾患は密接に関係していると学会などでも言われています。

糖尿病はインスリン作用の不足による慢性の高血糖状態を主徴とする代謝疾患群であり、インスリン作用不足による代謝障害の程度が軽度であればほとんど症状は気づかれない。そのため長期間放置されることがあります。しかし、血糖値が著しく高くなる代謝状態では口渇, 多飲,多尿,体重減少がみられ、さらには急性合併症として意識障害や昏睡に陥り、効果的な治療が行われなければ死に至ることもあります。代謝障害が軽度でも長く続けば特徴的な慢性合併症(網膜症,腎症,神経障害)を発症するリスクが高いです。さらに、糖尿病では全身の動脈硬化症が促進され、これが心筋梗塞,脳梗塞,下肢の閉塞性動脈硬化症の原因となります。また,、細菌感染に対する抵抗力の低下をもたらします。(日本糖尿病学会 ガイドラインより)

糖尿病は、それ自体も疾患ですが、免疫が低下することによって様々な合併症を引き起こします。この点が一番怖いところではないでしょうか。

そして、糖尿病患者において歯周病が悪化するメカニズムとして、

1高血糖による脱水傾向のため に口腔が乾燥し,唾液の自浄作用が低下することで歯肉に炎症が起こりやすくなること

2高血糖による白血球の遊走能・貪食能・殺菌能などの機能低下が生じ,歯周病原細菌に対する 抵抗力が低下すること

3過剰な血中ブドウ糖がたんぱく質と結びつきつくられる最終糖化産物(advanced glycation endproducts:AGEs)が、歯周組織での重要な基質分子であるI型コラーゲンやラミニンなどの機能的な性質を変化させること

などがあげられています。その関係の密接さから糖尿病の「第 6 の合併症」と表現され多くの解析がなされてきました。(日本糖尿病学会 ガイドラインより)

やはり、口腔内を清潔に保ち、歯肉の炎症を抑えていくことが、体全体のことになっていくのだということですね。現在、糖尿病の方はもちろんですが、予防のためにもクリーニングをして歯茎の炎症を無くし、歯周病から身を守り、そして、より良い生活を送っていただきたいと思います。