義歯の洗浄方法(前回の補足)

こんにちは。歯科医師の高橋です。
前回の「歯科のまめ知識」では、義歯の洗浄について書いてみたのですが、少し説明の足りない所があったような気がします。
今回は前回の内容を少しだけ足してみたいと思います。

まずは、前回の補足の内容として、、、
はぐきが痩せてきて、義歯との隙間が出来て、義歯との隙間を埋める治療をしたときに、柔らかい材質のものか、硬い材質のものを義歯の裏側に付けることがあります。
その場合のそれぞれの洗浄方法についてです。

柔らかい材質のものの場合

まずは、義歯ブラシでゴシゴシと、全体をこすらないこと。柔らかいので、裏うち材がはがれてしまいます。
裏うち材部分が柔らかいうちは、その部分の汚れを水流下で指の腹で優しく洗浄して下さい。
義歯ブラシは硬い表面の、裏うち材の覆われていないところにあてましょう。
特に裏うち剤と硬い部分の隙間にブラシはあたらないように気をつけてください。はがれやすくなりますので、注意してください。

それと、このまま義歯洗浄剤を入れた液体に浸してしまうと材質が硬くなってしまうので、義歯を使用していない時間は、
一週間以内ぐらいまで、洗浄剤を入れないで、水中に浸すようにしていてください。

一週間ぐらいすると、裏うちした材質が自然と硬くなってくるので、処置後一週間以上経過したら、水中に洗浄剤を入れて洗浄してください。
ただこの材質は硬さが増しても、義歯ブラシで強くこすると、はがれてきやすいので、気を付けてください。

硬い裏うち剤の場合

通常と同じように、義歯の素材に適した洗浄剤で、義歯ブラシで汚れをとったあと、洗浄容器の中に、水と洗浄剤を入れて義歯を洗浄してください。
ただ、その当日は処置したてだと、はがれやすいので、裏うちした所と裏うちしていない間の部分は義歯ブラシでゴシゴシこすらないようにしたほうが良さそうです。

あとは、外食したときのお食事後の義歯のお手入れですが、それは軽く水洗いだけで大丈夫です。
それにしても、人目があると、義歯を外して洗うのは、なかなかそれが難しいという問題がありますよね。
今後は、高齢化がすすんだ世の中になってくれば、高齢者専用の個別パウダールームやブラッシングルームが完備されている施設も増えてくるのでしょうか。。。

歯科医療関係者は、日々診療をしていると、義歯の取り扱いや洗浄方法などの説明が忙しさに流されておろそかになりがちです。
私も、患者さんの疑問や理解しにくい内容を事細かく説明する機会がなかなかないので、反省しています。
今後は、時間のある限り、そのような時間を作っていければと思っています。