インプラントって何?

みなさんこんにちは、歯科医師、関です。
7月も終わりに差し掛かり梅雨も終わって猛暑の続く日々ですが、いかがお過ごしでしょうか?
毎年思いますが夏はやはり暑いですね。こまめに水分補給して熱中症にならないように気を付けたいです。

さて、今回から豆知識のテーマを、ただいま勉強中のインプラントにしたいと思います。
題して『インプラント解剖学』。
第1回目は、『インプラントとは何か』についてお伝えしたいと思います。

○インプラントとは?
そもそもインプラントとは、歯科に限った用語ではありません。インプラントとは体内に埋め込まれる器具の総称です。関節リウマチの治療で使われる人工関節や不整脈のペースメーカー、聴覚障害の人工内耳、はたまた豊胸手術で胸に埋め込むシリコン、すべてインプラントです。
現在、インプラントというと歯科用のインプラントが一般的に想像されますが、数あるインプラント中の1つとして歯科用インプラントが存在します。
歯科用インプラントは顎の骨の中に埋め込まれ、歯がなくなってしまったところを補い、歯の代わりとして機能します。

○インプラントはなくなった歯を補う治療の1つ
なくなった歯を補う治療法には、入れ歯、ブリッジ、インプラントの3つの装置があります。
1965年にチタン製インプラントがヒトに臨床応用されるまでは、歯を補う治療は基本的に入れ歯かブリッジしかありませんでした。現在でもインプラント治療は医療保険の適応外なため、保険内の治療では入れ歯かブリッジということにはなります。
インプラントが、入れ歯やブリッジと異なる最大の特徴は、“他の歯に負担をかけない”という点です。
入れ歯もブリッジも歯がないところを補うために残っている歯に負担をかけて機能します。

残っている歯への負担とは、①装置を入れるために歯を削ること、②装置が機能するときに歯に負荷がかかることの2つがあります。
入れ歯の構造は、人工の歯と歯茎、残っている歯にかけるバネからなります。入れ歯をいれるために歯を削る量はそれほど多くありません。しかし、入れ歯を維持するためにバネがかかる歯には、咬む力や入れ歯の横揺れなど多大な負荷がかかります。
ブリッジは、歯と歯の間の中間の欠損に用います。歯がないところの両隣の歯を大きく一回り削ってつながった被せ物入れます。入れ歯と異なり歯と固定されるため、横揺れによる歯の負担はないですが、なくなった歯の分の咬む力を他の歯で担うため負荷はかかります。

このように、入れ歯とブリッジはなくなった歯を補うために残っている歯に負担をかけ、その寿命を縮めます。(こう書くと、じゃあ歯がなくなっても何もしないほうがいいじゃんと思う人いると思いますが、なくなったところを放置しておくのは他の問題が色々あります…)

対して、インプラントは、入れるために残っている歯を削る必要は基本ありません。顎の骨に人工の歯根を埋め込み、その上に被せ物を装着し人工の歯として“単体で”歯の代わりに機能します。咬む力はインプラント自身が負担します。したがって、インプラントは他の歯に負担をかけないため、結果他の歯の寿命を延ばすこと繋がります。
インプラントは歯がなくなった欠損を、本当の意味で回復させる唯一の方法です。
もちろんインプラントにもデメリットや注意点はあり、入れ歯やブリッジにも良いところはあります。歯科医師とよく相談して決める必要はありますね。