むし歯予防

こんばんは。
2回目の投稿となります。小児歯科専門医の中村 友昭です。
先月は10月13日に開催された日本小児歯科学会北日本地方会大会へ参加のため新潟県へ行ってきました。
今回は参加だけでなく、『Regional odontodysplasiaの口腔管理の2例』という内容で、ポスター発表もあったため、準備が忙しくドタバタした日々を過ごしていました。
その甲斐あって、多くの先生からご質問いただける良い発表をできたと思います。



さて、前回の記事では、乳歯のむし歯と定期検診について記載させていただきました。
今回は乳歯のむし歯予防について話させていただきたいと思います。


まず、むし歯になる要因として以下の4つの条件が知られています。
1.細菌 2.歯の質 3.糖質 4.時間
これがニューブランの4つ輪と言われるものです。

1.細菌
 むし歯は細菌が糖質を元に酸を作ることでできてしまいます。そのため、むし歯予防の大原則はやはり歯磨きになります。歯磨きによって口腔内の細菌の総量を減らすことがとても大切です。
特に乳歯は歯と歯が面接触しているため、フロスを使用することが重要です。

2.歯の質
 歯の作りが弱い形成不全などが原因でむし歯になりやすいことがあります。
 そのため、歯の質を強くするためフッ化物を塗布することによって耐酸性を向上させ、歯の表面を保護するだけでなく、再石灰化を促すことが知られています。

3.糖質
 糖質をもとに細菌が酸を産生するため、糖質の摂取は大切な要因です。
 特に大人も大好きな甘味です。子どもは一度体験してしまうと欲しがるのは当然のことです。そのため、兄弟の場合は下の子の方が、兄と同じおやつを一緒のおやつを早期に食べ始めるとむし歯になる可能性が高くなります。

4.時間
 糖質のやや重なる部分もありますが、おやつの摂取回数が多いほど歯が長い時間溶けてしまいます。また、就寝中は唾液量も少ないため、就寝前の歯磨きをすることでむし歯になるリスクが下がります。

これら4つの要因が重なるとむし歯が進行してしまいます。
そのため、これらをどれだけ回避することが大切なのですが、歯科医院として直接介入できるものは2.歯の質です。

仙台市で行われているフッ化物歯面塗布助成事業も、この歯の質を強くするためものです。
フッ化物歯面塗布は、歯科医院にてフッ化物を歯に塗ることによって、歯の表面の結晶の組成を変化させて、歯の質を強くします。
フッ化物歯面塗布は数ヶ月ごとに塗布することで効果があると言われていますので、仙台市のフッ化物歯面塗布助成を利用後も定期受診の際に塗布することをおすすめしております。

また、フッ化物歯面塗布以外にもむし歯予防として知られているものがシーラントです。
生えたての歯は未熟で溝が深い場合があります。そのため、その溝からむし歯が進む場合があり、溝を埋めることでむし歯になることを予防するのがシーラントです。

シーラント模式図


シーラント前


シーラント後



また、当院で使用しているシーラントの製品は、フッ化物歯面塗布によって口のなかで高くなったフッ化物イオンを取り込み、その後も徐々に歯に作用させる効果があります。


以上の2点が歯の質を強くするために当院で主に行なっているむし歯予防になります。
これら以外にも、細菌を減らすための歯磨き指導やおやつの食べ方などの食生活指導などももちろん行なっています。

長文となってしまい申し訳ございません。
受診の際に何かわからないことや不安なこと、気になることがあったら、気軽に声をかけてください。
最後までご拝読いただきありがとうございました!