歯髄の検査

みなさん、こんにちは!かさはら歯科医院、歯科医師の岩谷です。

春も終わりの時期となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。

 

先日、被せ物を入れてから染みる症状が現れた患者さんが来院されました。数日前から冷たいものが染みるようになりその後、温かいものも染みるようになったとのことでした。

歯の神経のことを歯髄と言いますが、歯髄がどういう状態かを確認するために詳しい検査が必要になることがあります。本日は、歯髄の検査についてお話をいたします。

歯髄検査は、歯髄の生死や炎症の状態を調べるために行われ、検査の結果から歯髄を残せるかどうかの判断をすることになります。本来、歯髄が正常かどうかを判断するためには、血流があるかどうかをみるべきですが、それをするための装置は大型で高価であり、簡単に入手できないことから、冷刺激や温刺激、電気刺激による神経線維の反応を血流の代替として利用し判断します。

したがって、歯髄検査は以下のような難しさがあります。

 

・血流をみることができない。

・検査の正確性

・患者主観の反応

・歯科医師による解釈

 

とは言っても検査をして診断をしないと治療に移ることができないため、様々な検査結果をもとに判断を行うことになります。

ここで、少し難しくなりますが、検査を行う上で欠かせない概念について説明いたします。

 

①感度

歯髄が死んでいる状態を正しく判定。

②特異度

正常な歯髄を正しく判定。

③陽性的中率

検査結果から、歯髄が死んでいると判定された場合、歯髄が死んでいる確率が高い。

④陰性的中率

検査結果から、正常な歯髄と判定された場合に、正常な歯髄である可能性が高い。

 

一般の診療室で用いる検査のうち、感度は冷試験が最も高く、特異度は電気歯髄診が高いと言われています。

歯髄検査の信頼性を調べた研究結果では、冷試験の感度は87%、陰性的中率は87%、電気歯髄検の特異度は93%、陽性的中率は89%と言われています。簡単に言うと、冷試験が陽性の場合は、歯髄が正常である可能性が高く、電気歯髄診が陽性の場合は、歯髄が死んでいる可能性が高いと言えます。

 

各検査方法については次回お話いたします。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!