口と歯の気になる症状(続編)

こんにちは。歯科医師の高橋(克)です。

本日は、義歯の型取りが難しくなると思われるケースについて考えていきたいと思います。

①嘔吐反射が強い方

嘔吐反射とは誰にでもあるもので、咽頭反射とも呼ばれます。もともとの反射領域が広い方が起こりやすいのはもちろんですが、反射の強い敏感な方だと日々の生活の中でも(特に口腔清掃時に)よく起こるようです。口腔内の傾向としましては、舌が歯列弓内より比較的大きめで厚みがある方や舌がむくみやすい方、舌圧が強く舌の緊張が強い方、口腔内の許容量が少なめの方、などがなりやすい傾向にあると思われます。そうなる原因として、もともとの口腔内の空間が少ないために型とりする余裕分の空間が塞がれ、脳内の情報が混乱し、嘔吐反射が引き起こされやすくなってしまう為なのではないかなと考えています。

他に考えられることとしては、体調の変化などですが、まずは逆流性食道炎があったり、服薬や病気の影響であったり、飲酒や二日酔いの状態であったり、アレルギーの影響であったり、口呼吸であったり、更年期の影響であったり、睡眠不足であったり、摂食障害などの心理的な影響であったり、過去の歯科トラウマであったりと様々です。

歯科に対する緊張が強い場合は、時として歯科医院でおこなうトレーニングで少しずつ嘔吐反射の症状が改善できることもあるようです。内容としましては、まず口の中に水を貯めてバキュームでその水を吸うことができるように鼻呼吸の練習をしたり、治療中に緊張しすぎてついつい力が入ってしまう方であれば、口腔内外の緊張を意識的にほぐす指導などをおこなわせてもらうこともあります。特に恐怖心強めなお子様や、ご年配の方などに効果があるようです。

②口腔内の形態の影響によるもの

骨隆起によるもの

遺伝的な影響ももちろんありますが、もともとの噛み合わせる力が強いことや、食いしばり歯ぎしりなどの影響などで顎の骨が発達し、骨のコブができているような歯茎の形状のことを骨隆起と呼びます。下顎だったら舌側小臼歯部と頬側に、上顎だったら頬側大臼歯部と口蓋中央に好発します。骨隆起が発達していると、型とりをするトレーが隆起にあたってしまい、痛みを生じたり、外すときに引っ掛かりが生じて外れにくくなってしまうこともあります。それとかなり骨隆起が発達している場合などは、型とりできるトレーがなかなかみつからないということもあります。

③開口量が少ない場合など

顎関節症など、開口量が少なかったり、もともと口が小さくてトレーが入らなかったりする方もいます。

その他に歯槽骨の吸収が著しい方や、歯周病がかなり進行している方や、口蓋が深い方や、歯列弓がかなり大きい方や、叢生の方などは型とりが難しい症例だと思われます。