乳歯をぶつけた時の影響とその予防法

みなさん、こんにちは。
かさはら歯科医院歯科医師の室月です。

今年もあっという間に過ぎて、もう少しで年が明けます。
皆さんは今年はどんな年だったでしょうか。
それぞれ違った一年だったとは思いますが、来年は今年よりさらに良い一年にしたいものですね。

さて、今日は乳歯の外傷のお話です。

まだ幼いお子さんが目を離した隙に転んでしまい、口元をぶつけてしまった、そんな経験はありませんか。

乳歯を強くぶつけてしまった場合、後から生えてくる永久歯に一体どのような影響があるのでしょうか。

また、ぶつけてしまうことに対して何か予防策はないのか。

今日はこのようなお話ができればと思います。

まずは、後から生えてくる永久歯への影響ですが、さまざまな形の後遺症を引き起こしますが、そのほとんどはエナメル質の着色と減形成です。

①エナメル質の着色

唇側のエナメルの白色や茶褐色の着色が付くことがあります。

2~7歳児の外傷に多くみられて、エナメル質の石灰化が障害されることによって起こります。

②エナメル質減形成

着色部の歯茎に近い部分に現れる水平な狭いエナメル質減形成で、着色部にもエナメル質減形成が認められることがあります。

③歯冠重複

乳歯の外傷によって、形成されている途中の永久歯の歯冠が通常生えてくる方向と全く違う方向から生えてくることがあります。

④歯根形成の停止

外傷乳歯の後の永久歯にまれに現れて、多くの場合、生えてきません。
5~7歳の子供で、上の前歯が完全に外傷により抜けてしまった場合や顎を骨折したときに発生することが多いです。

⑤歯根彎曲

乳歯外傷により、形成途中の永久歯の歯冠が全く違う方向を向いてしまい、歯根の形成方向が変わることによって引き起こされます。

以上のような影響が考えられます。

それではこのような外傷の予防についてはどのようなことに気をつければいいのでしょうか。

・幼児における外傷の予防

幼児の外傷は、おぼつかない足取りで歩き始めた時に転倒したり、ベッドや階段から転落することにより、引き起こされます。
保護者が注意する以外に外傷の予防法はないといわれています。

・児童における外傷の予防

児童における外傷の予防も、交通事故を除くと、転落や転倒により引き起こされます。
児童の場合は、転倒に際して顔面を打つのを防ぐため、常に手をポケットから出して歩くように指導する必要があります。

・スポーツ少年における外傷の予防

学校におけるクラブ活動やスポーツクラブにおける活動による外傷は多いです。
特にサッカーやラグビーなどの接触スポーツで多発します。
このため、このようなスポーツに参加する児童に対してはマウスガードの使用が勧められています。

今年も多くのブログ記事を書かせていただきましたが、ここまでお読みいただきありがとうございました。

来年も皆様のお口の健康を守るべく、地域医療に貢献していきたいと思っております。

来年もどうぞよろしくお願い致します!