口と歯の気になる症状(続編)

こんにちは。歯科医師の高橋(克)です。

本日は、金属の詰め物や冠が完成した後に、歯と補綴物が適合不良で再製作となるときに推測されることについて、いくつか挙げていこうと思います。

原因①石膏模型の変形

最後臼歯の型とりで特に起こりやすいのが、石膏模型の変形です。保険診療だと、アルジネートや寒天を使用し、歯を切削後に型とり(印象)を行うのですが、型とりする枠(トレー)から、処置部位が入りきらずに印象材ごと外側に出てしまうと、石膏を流して固まるまでの間に、その重みで模型が歪んでしまうことがあります。

その他の原因としては、型とりしてから石膏を注ぐまでの間に時間が経過してしまうと、水硬性の型とりの材料は表面が乾燥して収縮してしまうので、特にアルジネートと寒天で印象採得したものはできるだけ早く石膏を流すように、注意が必要だと言われています。ちなみに自費診療は、多くがシリコン系の印象材で型とりしますので、変形が少ないと言われています。ただシリコン系は(ゆっくり硬化するので印象材の変形が少ないと言われている)硬化するまでの時間がかかるので最後臼歯が治療部位で嘔吐反射のある方は少し大変かもしれません。

原因②印象

印象(型とり)をする時に出血や汚れが残っていたり歯肉の状態が良くなかったりすると、印象で細部がうまく再現されないため、適合が悪くなることがあります。

それと、印象材を練るときの液体の温度や印象材の硬さや柔らかさや印象材の練和状況などにより、歪みを生じることもあります。印象材料内の気泡や不純物や練和状況により適合に問題が生じることがあります。印象材に気泡が入ると内面が緩くなったり、がたつきの原因になったり、印象材の温度が高ければ早く硬化してしまったり、練和した材料が固ければ、さらに硬化が早くなります。逆に印象材の温度が低ければ印象が緩くなり、固まるまで時間がかかったり、印象材が緩ければ石膏を流したときに重みで変形しやすかったりするのです。なので、印象を練和する液体の温度や、その日の気温の状況などが原因となり、再製作せざるを得ない状況が発生するかもしれません。

通常は、完成した補綴物の適合が最初入らないことがあっても、隣接面のきつさを調整することで次第に金属や白い冠が歯にぴったりと入り込み、さらに嚙み合わせの調整をしていくうちに、補綴物が適合の良い状態になってセメントで接着できるまでになります。しかし、いろいろな原因が重なって再度製作しなくてはいけないことも時にはあるようです。来月もその他の考えられる原因を伝えていきたいと思います。