口と歯の気になる症状(続編)

こんにちは。歯科医師の高橋(克)です。

本日は前回からの続きで、一日目の治療が終わった後の技工サイド(金属の冠や詰め物)の製造工程についてです。

1,石膏ながし

型とりが終わったら模型作りです。きれいに洗った模型をエアーで乾燥させて気泡がないように、水と混和した石膏を流し固めます。ここで注意したいのが、石膏を流す時の固さや、できるだけ気泡を作らないようにすることや、模型が石膏の重さで歪まないようにすることや、型を採ったらできるだけ素早く流すことなど、注意点がいろいろとありますが、ここで模型の仕上がりや精度がかなり違ってくると言われています。

2,模型の分割

石膏が固まったら型から外して模型を分割するために、さらに模型の裏にピンを立てて、ジグなどを使い、模型の形を整えたあと、技工用のノコギリを使い、模型が取り外しできるように分割をします。

3,咬合器に上下顎の模型を付ける

ワックスやシリコンなどの口腔内で噛み合わせたものを使用し、咬合器という嚙み合わせを人工的に再現できる器材に上下の石膏模型を石膏などを用いて付着させます。ここで、実際の口腔内との噛み合わせの誤差があると、最終的な技工物の高さが実際とは違うように出来上がってくる可能性があります。

4,ワックスアップ

模型の側面にワックス分離剤を塗り、歯を削った面に最終形になる金属の詰め物の形に、固形ワックスを加熱し、柔らかくしたものを、少しずつ盛って形を整えていきます。

5,埋没材に入れる

ワックスで形を整えたものにスプルー線という金属が流れていく通路になる蝋などの線を付け、液体状態の埋没材をその周りに気泡がないように付けていきます。それを埋没材を入れる鋳造用のリングに植立します。その後リングの中に埋没材を気泡が出ないように流し込み硬化を待ちます。

6,ワックスを溶かす

硬化が終了したら、埋没材のワックスを溶かすため、鋳造用のリングを加熱した窯に入れます。

7,鋳造

鋳造とは、埋没材が入ったリングの中に熱で溶かされた金属の形に空洞ができているので、その中に熱した金属を流し入れる作業になります。遠心力のかかる鋳造機を使用し、バーナーで金属を溶かして素早く流し込みます。

8,埋没材の除去

リングを冷まし、埋没材を除去します。さらにある程度冷めたら水洗いで、固まりになった金属を埋没材を洗いながして、鋳造された金属を取りだします。

9,サンドブラストと余剰部の除去

まだ細かい埋没材が金属の周りに付着しているので、それをサンドブラストという機械の中に入れて除去します。きれいになったらスプルー線の部分と技工物となる部分を切り離します。その後金属の形を整え模型に入るように調整します。

10,咬合調整と研磨

模型に入れられるようになった金属を咬合器上で最終的な噛み合わせの調整と研磨を行います。

以上がおおまかな技工側のながれです。