ICDAS

歯科医師の平山です。

う蝕(虫歯)の分類として現在歯科医院で多く用いられているのが、う蝕の進行をC0~C4の5段階に分けて評価する方法です。
C0 歯質の不透明感や白斑、色素沈着が認められるがう窩が確認できない
C1 エナメル質に進行したう蝕
C2 象牙質に達したう蝕
C3 歯髄に達したう蝕
C4 歯冠が崩壊し残根状態のう蝕

「MI(Minimal Intervention)」という概念があります。直訳すると「最小限の侵襲」、最小限の侵襲での治療を行うことによって、より歯の寿命を伸ばしていくことが出来ます。侵襲的介入を最小にするためのアプローチとして個人的なリスク評価、正確な病変の検出、予防治療によるう窩のない病変の再石灰化などがあります。また侵襲的介入が必要な場合は可能な限り最小限の手法にすべきです。

ICDAS(The International Caries Detection and Assessment System)は国際的なう蝕分類法で、病変の活動性を評価したり出来ます。ICDAS とは、2005年に欧米のカリオロジー研究者によるコンセンサス会議で決定した新しいう蝕検出基準で、7つの基本コードからなります。本基準の特徴は、初期脱灰の段階から病変として認識している点です。

ICDASの基本コード
コード0:健全
コード1:エナメル質における目視可能な初期変化(持続的なエアー乾燥後に限って観察されるか、あるいは小窩裂溝内に限局)
コード2:エナメル質の著名な変化
コード3:限局的なエナメル質の崩壊(象牙質への進行を示す臨床的な肉眼的徴候はない)
コード4:象牙質への陰影がある
コード5:著名なう窩(穴)、象牙質は目視可能
コード6:拡大した著名なう窩、象牙質は目視可能

このICDAS コードは従来C0やC1と言われていた部分が更に細かく細分化されています。
健康な状態ではこの状態を維持していくこと、う窩のない病変に対しては予防的なう蝕コントロールで初期病変を維持していく事が重要です。予防処置を優先し、侵襲処置は最終手段として使われます。侵襲処置が行われるときは最小限の組織の量が除去されるべきです。そのためには早期にう蝕を発見する事が必要になります。痛みなど症状が出ているときは歯髄(神経)付近にまでう蝕が進行してしまっている場合があります。自覚症状がなくても歯科受診をする事はとても重要です!

歯科診療ではICDASカリエスコードだけでなく、X線写真または他の病変検出方法からも更なる診断情報を得て活用していきます。病変の活動性の知識と患者さんの危険因子も適切な治療計画を考慮するために必要です。
ICDASは患者さんの歯の状態や病変を予防するためにできる事について、患者さんと話し合いながら治療を進めていくのを助けるために利用できます。