インプラントってどんな構造?

みなさんこんにちは、歯科医師、関です。

8月も終わりを迎え、夏の暑さにも陰りを感じる今日この頃ですね。

 

さて、今回インプラント解剖学第2回のテーマは『インプラントの構造』です。インプラントとはいったいどういう構造をしているのか、お伝えしていこうと思います。

 

インプラントの構造は、フィクスチャー、アバットメント、上部構造の3つから構成されます。

①フィクスチャー

外科手術にて顎の骨に埋め込まれるもので、インプラント体や人工歯根とも呼ばれます。適切な処置と環境下で埋めることで、顎の骨と結合させることができ、歯の根に相当する役割を果たします。使用されている主な素材は、チタン、チタン合金です。また、インプラントの表面にはブラスト処理、酸処理、酸化処理、機械研磨処理などの加工がされており、より顎の骨に結合しやすく工夫されています。

 

フィクスチャーの構造は、歴史的に様々な形が考案され使われてきました。

⑴ブレードタイプ

平らな板形で、ハンマーで槌打しながら顎の骨に埋め込みます。破損や骨が痩せてしまうなどのトラブルが起こりやすく、現在では使用されていません。

⑵バスケットタイプ

インプラント体の側面に複数の穴が空いており、中が空洞になっています。空洞部分に骨が満たされることで維持されるコンセプトでしたが、その中に骨ができなかった場合は、インプラント体が破損しやすくなります。現在では使用されていません。

⑶シリンダータイプ

凹凸の少ない円筒形の構造をしています。ブレードタイプと同様打ち込んで顎の骨に埋め込むため、手術は比較的容易ですが、骨と接する表面積が少ないので、初期固定が弱いといわれており、埋め込んだ後歯茎を閉じて、約3~6ケ月間インプラントと骨が結合するまで待つ必要があります。

⑷スクリュータイプ

現在、インプラント治療で最も使用されているタイプです。ネジのような形をしており、回転させながら顎の骨に埋め込みます。スクリュータイプの中でも、円柱状のストレートタイプ、先が細くなるテーパータイプやネジの数が多いもの少ないもの様々な形が存在します。

②アバットメント

フィクスチャーと失った歯の代わりとなる上部構造を連結するための構造です。専用のネジでフィクスチャー上部に接続させます。埋め入れたインプラント体の位置や歯茎の厚みに合ったものを装着します。使用されている主な素材は、チタン合金やジルコニアなどです。

 

③上部構造

アバットメントの上に接続されるもので、失われた歯冠の代わりとなり、目で見える部分です。専用のネジで固定する場合とセメントといわれる接着剤で固定する場合があります。使用されている主な素材は、オールセラミック、ジルコニアセラミック、メタルボンド、ゴールドなどがあります。また、取り外しできる入れ歯を装着することもあります。