歯科用セラミックスについて

こんにちは。
歯科医師の角田です。
本日は歯科用セラミックス。その中でもジルコニアについて書かせて頂きます。

まず、セラミックスとは何かという話からさせて下さい。
セラミックスとは、日本工業規格(JIS規格)では次の様に定義されています。
「化学組成、結晶構造、微構造組織・粒界、形状、製造工程を精密に制御して製造され、新しい機能又は特性をもつ、主として非金属の無機物質」。
要するに、セラミックスとは人為的な処理で加工された、主に非金属材料の事を指します。この中には、ジルコニアも含まれています。

ジルコニアとは金属であるジルコニウムが酸化し、二酸化ジルコニウムとなった材料の通称です。高強度、高い曲げ強さを有し、耐熱性にも優れている為に、歯科のみならず様々な分野で用いられています。例えば通信部門では光通信でのコネクタに、家庭ではハサミや包丁などにも利用されています。
歯科にジルコニアを用いるメリットとしては、上記の高強度、高い曲げ強さに加えて金属アレルギーの危険性が限りなく低いとされている事、イットリアを含有させる事で天然歯に近い色を再現出来る事、熱伝導率が金属と比較して低い為に天然歯と似た熱の感じ方が出来る事が挙げられます。
また、デメリットとしては適切な形態修正、研磨を行わなければ、対合歯の摩耗を亢進させてしまう可能性がある事、再治療が必要となった際の除去が非常に困難である事、ジルコニアが歯科材料として用いられる様になってから未だ日が浅く、臨床データが不足している事が挙げられます。
ジルコニアの歯科適応範囲は広く、1つの歯の詰め物から被せ物、複数の歯に渡るブリッジまで使用する事が出来ます。

http://kikakurui.com/t6/T6526-2012-01.html

上の表は歯科用セラミックにおけるJIS規格です。表において最も強度を求められているクラス6においても、多くのジルコニアはその条件を満たしている為に、様々な用途に使用が可能となっています。
話は逸れますが、セラミックスの中でも、当院で使用しているIPS e-max Pressでは曲げ強さが400MPaである為に、クラス5とクラス6に相当する大臼歯を含む3歯ブリッジ、4歯以上のブリッジでは曲げ強さが不足している為に適応でない事が解ります。

以上、歯科用セラミックス、特にジルコニアについて説明させて頂きました。
ジルコニアについては先に述べた通り臨床データは少なく、これからの展開が期待される材料だと考えられます。ただ、現時点で判明している事、適応を理解した上で歯科臨床に取り入れていければと考えています。