嚥下・咀嚼

こんにちは歯科医師の鈴木 敬です。
今回は先日受けたセミナーについて書こうと思います。
自分の学生時代、岩手医科大学にて教えて頂き、今は東京医科歯科大学に所属されている古屋先生のセミナーでした。
内容は高齢者の食を支援する総義歯補綴と咀嚼嚥下リハビリテーションについてと総義歯での実践的咬合調整法についてというものでした。
日本は超高齢化というのは有名かと思います。ですが、高齢化率は世界最速というのもご存知でしたでしょうか。1970年7.1%から1995年14.5%までの25年間で7%増加していますが、1995年14.5%から2007年21.5%までの12年間で7%増加している。つまり、半分の年数で高齢化が進んでいる。その予想で行けば2040年には36.1%になるとのことです。
そのことからも歯科治療が担う分野も変化に対応していかなければいけないということです。高齢者の方の治療は歯科医院よりも在宅、施設で行う割合が増えていく。なぜなら、後期高齢者は要支援、要介護になり歯科を受診する機会が減り、歯科受診率は低くなっているためです。要支援、要介護では食事、つまり、食べて、飲み込むことがうまくできないことが多く、さらには、誤嚥性肺炎を引き起こしやすくなります。そうならないためにも介助者や支援者が口腔ケアを行うことが大切となります。
通院できるうちに良い治療と良いケアを行うことも将来を見据えた対策になるとのことです。元気なうちに口腔機能を最大限よくし、貯金をしていく。そして、病気になっても口から食事をする事を目標にしていきましょう。
もう一つのテーマの総義歯での咬合調整法も勉強になりました。専門的な話になりますが、
・義歯の良い形をイメージしておくと失敗は少ない。
・小さすぎる義歯を長年使っている場合、正しい大きさ、形とは違っていてもコピーデンチャーを途中の工程で入れて、慣れれば新しく作り変えると良い。
・舌下腺部は厚みが必要で、わずかに押して辺縁封鎖を図る。
・フルバランスオクルージョンもリンガライズドオクルージョンも有益である。
・リンガライズドオクルージョンの簡便さは
①口腔内で咬合調整
②上顎舌側咬頭5点のみ
③成熟しやすい
④口腔の変化に追従しやすい
・フルバランスド様リンガライズを目指す。
・垂直被蓋は1㎜ 水平被蓋は2から3㎜
これらを実践し、より良い治療ができるように頑張りたいと思います。