Tooth wear

こんにちは、歯科医師の平山です。

tooth wear という言葉聞いたことありますか?

tooth wearとは、簡単にいうと虫歯(う蝕)ではないのに歯が欠けたり、溶けたりする病気のことを指します。
tooth wearとは、う蝕原因菌によらない歯質表層の損失であり、生活習慣に大きく影響される多因子性疾患です。従来はう蝕や歯周病が歯科の2大疾患といわれてきましたが、tooth wearはう蝕や歯周病に次ぐ第3の疾患として注目されています。
tooth wearを引き起こす原因として一般的に「①アブフラクション」「②咬耗」 「③摩耗」 「④酸蝕」の4つがいわれていますが、詳しい因果関係については解明されていません。

アブフラクション(abfraction)
強い咬合や咬合異常によって力の加わった部位に対応する特定の歯頸部表層に引っ張り応力が生じ、エナメル質および象牙質が破壊されて欠損が生じると考えられています。

② 咬耗症(attrition)
歯と歯あるいは食物と歯が繰り返し接触することにより接触部のエナメル質および象牙質に実質欠損が生じます。歯の咬耗は長期間かかって起こるもので、咬合力、歯ぎしりや歯のくいしばりの習慣、食物や嗜好品の硬さ、歯の石灰化の程度などの因子、およびかみ合わせの修復物の性状(硬さ)によって影響されます。特に歯ぎしりや食いしばりの習慣を有する場合は著しい咬耗がみられ、一般に若年者より高齢者の方がまた女性より男性の方が咬耗の程度が高度です。

③ 摩耗症(abrasion)
研磨性の強い歯磨剤を用いた過度の歯ブラシ使用やパイプの常用などによる習慣性摩耗と、ガラス職人、大工、靴工、美容師や管楽器奏者など業務内容に必須の道具を特定の歯・歯列により保持することによって生じる職業性摩耗とがあります。また、義歯のクラスプ(ばね)によって摩耗が生じることもあります。

④ 酸蝕症(erosion)
酸の作用により歯質が表在性に脱灰される(歯が徐々に溶解する)ことです。
⑴ 職業性
塩酸、硝酸など強い無機酸を取り扱う従事者に歯の侵蝕がみられます。
⑵ 飲食物
酸性の食品の多量摂取により起こります。
⑶ 疾患
逆流性食道炎、拒食症など胃酸が口腔内に逆流することによって生じます。

tooth wearの臨床所見をどのように評価し、それがどのような原因によるものかの判断は非常に困難であり、一致した見解がないのが現状です。
tooth wearの対策としては原因が多岐にわたるため、歯科医師と十分に話し合いながら、生活習慣との関連を検証する必要があります。
ぜひ上記の状態に当てはまると感じた方、歯科医院に相談してください!

(参照:第3版 保存修復学21)