口腔インプラント学会にて

歯科医師の鈴木 敬です。

先日仙台で行われた日本口腔インプラント学会に参加してきました。全国規模の学会で、有名な先生方が集まり、治療報告、研究報告などを発表され、大変ためになる会でした。私の同期や先輩、そして後輩がそれぞれの場所で勉強をし、治療をしている報告なども聞くことができ、良い刺激を受けることもできました。
講演の中で特に気になったことをお伝えしていければと思います。
超高齢化社会となった日本において歯科医師の求められている役割にも少しずつ変化が出てきています。むし歯や歯周病などの病気を治療して予防する考えから、健康を継続させ、さらに増進するのはどうするかという考えに変わってきていると言われています。そして、通院し治療を受ける人の数に比べて在宅や介護施設などでなかなか治療を受けれない人の数の方が多く、今後もさらに拡大していく予想だそうです。
むし歯や歯周病の発症の予防、進行抑制そして咀嚼機能の回復(食べる機能の回復)さらに要介護者に対する対処が歯科医師の大きな役割となっています。
つまり、発症は、不良な口腔衛生、フッ素供給不足、不適切な甘味摂取、喫煙など様々な要因で起こります。そして、むし歯や歯周病により歯の喪失が起こり、食べる機能が低下します。その後、食事の栄養バランスが悪化し、生活習慣病である糖尿病、がん、心疾患などを増悪させるリスクとなります。さらに、介護が必要になる認知症や摂食、嚥下能力が低くなり誤嚥性肺炎も起こしてしまう可能性が高くなります。その連鎖を断ち切るためにも予防、歯周病の治療、歯がなくなった所の治療が大切だと改めて認識できました。歯を失った治療に関してはインプラントが第1選択肢となっています。失った部分が大きければ、インプラントと入れ歯を併用したインプラントオーバーデンチャーは良い結果が出ているとの事でした。清掃性の良さ、入れ歯単体の咬む力に比べて2倍の力、入れ歯があまり動かないことによる食事のし易さなどが特徴です。この治療により食事が楽しくなれば素晴らしいことだと思います。
ただし、インプラントは歯周病や力が強すぎる人では悪くなる可能性が高くなります。ですので、定期的なお口のチェックは欠かせません。残念ながら歯がなくなってしまった場合には早めに治療することをお薦めします。将来、お口の健康を保つために、ご自身のお口の状態をよく理解し継続的なメンテナンスをして頂きたいと思います。