こんにちは。歯科医師の高橋です。
今日のテーマは知覚過敏について、お話させていただきたいと思います。
皆さんは、知覚過敏という言葉はご存知ですか?
最近はTVのCMや、薬局のはみがきコーナーでよく見かける言葉だと思います。
どんな意味で使用されているかは、かなりあいまいな感じだと思います。
私達が、知覚過敏と診断するときは、いろいろなケースがありますが、
今回は、歯周病が原因で起こっている知覚過敏についてご説明させていただきます。
知覚過敏は歯がしみるという症状の病名なのですが、基本それは虫歯ではない歯のことをいいます。
虫歯ではないのに、どうして歯がしみるのか?そこが疑問だと思います。
まず、歯の中の神経の痛覚についてですが、歯の神経は温度差やいろいろな刺激を受けると、すべて痛みとして感じられることが知られています。
例えば、暖かいもの冷たいものの刺激が、すべて「痛み」あるいは「しみ」として感じられるということです。
歯周病は歯の周囲の土台組織、例えば歯を支えている骨や軟組織(粘膜や筋組織や神経組織等)が、弱って薄くなっていく病気です。
歯を支えている、大切な土台が弱っているために、歯がグラグラになり、いずれ抜けて(抜歯せざるを得なくなって)いってしまう病気です。
この病気の怖さは、進行していても、大体のケースで無症状で進行し、気がついた時には、ほほ手遅れというケースが多いのです。
最近の日本人の虫歯の数は全国的に減少傾向にありますが、歯周病については、一般的にあまり関心をもたれていない方が多いようです。
最近、歯科検診の大切さを、どこかしらのメディアで報道されている事が多々ありますが、だいだいこのことをいっているのです。
ここで、本題ですが、知覚過敏を主訴とする患者さんで、歯周病を患っていることを自覚されずに、受診される患者さんが大変多いのです。
歯を支えている骨が、歯周病で半分くらいになっていても、自覚症状なく、「しみている歯をどうにかしたい。」といらっしゃるのです。
歯を支えている骨やはぐきはいわゆる「歯の洋服」です。洋服が薄くなったら、歯が「寒い」と感じます。ここでわかりましたよね。
歯の神経は、冷たさや暖かさ、その他の刺激を「痛み」として感じます。それで、「歯周病による知覚過敏」がおこるわけです。
ただの知覚過敏ではなく、おおもとのところ、つまりは「歯周病」なのです。
定期健診の大切さは、このことからわかります。歯周病は、検査してみないと患者さん自身でも病状が自覚できない怖い病気です。
患者さん自身でも、病状を早期に指摘されることで、いろいろな対策がとれます。
自分自身の歯を守りたいなら、歯科検診は是非、定期的に受けてください。お待ちしております。